どんな職業でもそうだと思うが、グレートな仕事ができる人は全体の2割、
普通の人が6割から7割、どうしようもない人が1割から2割ではなかろうか。
そして本書に登場するマンガ編集者は、ヒット作を連発している上位2割の
人たちである。
なので、多くのフツーの編集者はフツーのマンガを雑誌に載せている。
もしマンガ編集者がこのインタビューに出てくるようなすごい人ばかりなら、
世の中のマンガは傑作だらけになるはずである。
私がマンガ編集者になれていたとしても、おそらくフツーのマンガを掲載
できて御の字だったろう。どうでもいい話だが。
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面白いマンガを世の中に出すために、マンガ編集者はどんなことを考えている
のか、そしてマンガ家と編集者の関係はどういうものなのか、という問いに、
かなりストレートに応えているな、というのが本書を読んだ感想である。
そこには何か法則のようなものがあるのだろうか、というのがインタビュアーの
隠された問いかけではないかと推測する。
そして、マンガ家ときちんと向き合って作品を受け止める、が答なのではないか、と。
一行で書いてしまえばそういうことなのだが、実際にできるかといえば難しい。
というのも、マンガ家の数だけ個性があり、編集者との相性もある。
さらに言えば、多くのマンガ家志望者は箸にも棒にもかからない人たちであり、
才能のある人と巡りあうのも運が左右する。
その混沌の中から、多くの読者に面白いと思ってもらえるマンガを描いてもらう
のは、本当に難しい。
少なくとも商業誌には、まだ編集者が必要ではないかと思うのである。
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編集者のインタビューはとても面白かったのだが、著者の自分語りはカットした
方がよかったのでは、と思う。
なぜインタビューはあれほどクリアに表現できるのに、自分の話は回りくどいのか。
誰か著者にインタビューすべきだ。
それから、先入観をできるだけなくすために、マンガ編集者のプロフィールは
ほとんど明かされていないのだが、出身地や学歴は最後にまとめて記載しても
よかったのではないか。
それがダメなら、せめてこれまで担当してきたマンガを並べるべきではないかと
思った。いくつかはインタビューの中で語られているが、私は一覧が見たかった。