Boaz2014-10-31

読売新聞で連載していた恩田陸の小説「消滅」が終わった。
ラーメンに始まり、ラーメンに終わる話だった、というのは誤解を招くな。
国際線の空港で留め置かれた人々の群像劇、といえばいいのか。
最後まで飽きさせない物語だった。


そして、とり・みきのイラストも、100の話を120にするような楽しさがあった。
毎回切り抜いており、全てがカラーでないのが残念だが、永久保存版だ。


読み終わった気がついたが、登場人物の苗字はみんな日本の映画監督から
とっているのですね。
それぞれのキャラクターに、映画監督の作品が反映されているかも、と
思うと、いろんな分析ができそうだ。



私が気になったのは、第300回あたりで語られる「女性の洗顔」について
だった。
女にとって顔を洗う=メイクを落とすという作業が、それほど重要な儀式
だとは、この小説を読むまで思ってもみなかった。


が、同棲したり結婚している男性は、とっくに分かっている話だったのかも
しれない。
とにかく、なんという面倒くさい生き物なのだ女は、と思った。



さて、この小説の映像化は可能なのだろうか。
舞台は空港でほとんど動かないのだから、映画よりも演劇向きかもしれない。
もし映画にするなら、よほど計算してカット割りを決めないとつまらないもの
になるだろう。


実写だとキャスリンをどうするかも問題だ。
人と見分けがつかないロボットを人間が演じるのは難しいだろう。
アニメでも、人間そっくりだけど人間ではないものを描写するのは力量がいる。


特に派手なことが起きるわけでもないし、映像化を企画する人は少ないのでは
なかろうか。いや、してくれたらうれしいけど。