うちの近所のパチンコ屋の前の、もう7、8年ぐらい空き店舗になって
いたところに、中華料理店がオープンした。もう3ヶ月ぐらい前だ。
その店の前も中華料理店だったので、居抜き物件だったのだろう。
食べに行ってみたが、はっきり言って素人が作った味である。
厨房にいる料理人を見ると、パッとしない若者だった。
以前にも、新しくできた店で食べてみると、なんでこのレベルで
店を出した? という料理が出てきたことがあった。
そこは半年ぐらいで潰れた。
居抜き物件とはいえ、新しい店を開くには資金とやる気が必要だろう。
よほど思い切った決断をしないとできないと思うのだが、なぜ料理の
腕をかえりみなかったのか不思議だ。
それとも節税対策で、どこかの金持ちが道楽で開いたのだろうか。
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グルメガイドが流行るのは、何の情報もなしに入ったら大怪我する
可能性があるからだろう。
少なくとも、昔の店はそういう水準だったのだ。
それでもまずい店がやっていけたのは、客が要求する水準が低かった
のと、値段が安かったからだろう。
お互いに、まあこんなものか、と納得していたから、客が途切れなかった
のだと思う。
だが、全体に豊かになると、おいしいものを食べたい欲求が強くなる。
飲食店に、飢えや貧困が原因ではない行列ができ始めたのはいつごろ
からだったろうか。
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大都市では、おいしくない店はあっという間に淘汰されてしまう印象が
ある。実際はどうなのか分からないが、昭和のような牧歌的な状況では
ないだろう。
だが、あまり味にこだわらず、そこそこのものを普通の値段で出して
くれたらそれでいい、という人もたくさんいるはずで、そういう人が
通っていた店も、巻き添えをくらって閉店しているのではないか。
幸い、松山は田舎なので、昔ながらの店がしぶとく生き残っている。
が、おそらく経営者も高齢化して、世代交代もうまくいかない店も
あるだろう。
そこそこの味の店は、コンビニやファストフードのチェーン店に
取って代わられている。
おそらく全国的にそうなのだろう。
そう考えると、あのまずい中華料理店にもう一度行っておいた方が
いいのかもしれない。潰れてしまう前に。