Boaz2014-01-06

ブラック企業問題を考えるとき、人を奴隷にして儲けようという悪質さが
取り上げられることが多い。


その前に、そもそも商売として成り立つフィールドに立っているのか、と
問われることはあまり無いように思う。


例えば、不動産業はブラック企業の温床のひとつで、いくら営業しても
契約がとれず追い詰められていく、という話をよく聞く。


しかし不動産は営業をかければどんどん成績が上がるものではない、と
私は思う。
少なくとも良い物件を多く持っているかどうかが重要で、営業がどう
がんばっても、契約できないものは契約できないのである。


最前線が無茶をすれば何とかなるはずだ、という戦時中の精神主義が、
どうして現代の経営者に蔓延しているのだろうか。
ひとつは、経営者が、市場の規模や将来性と、自社の能力を考える
合理的な考えを持っていないからだろう。


もうひとつは、気合で何とかなる、という考え方を日本人が共有して
いるからだと思う。


それを涵養しているのは、大衆文学やマンガやアニメではなかろうか。
最後の決戦で主人公が窮地に立たされたとき「うおぉぉっ!」と叫んで
不思議な力が湧いてきて勝つ、というパターンを何度も見る。
私も大好きで、カタルシスを得る。


けれども、現実は「うおぉぉっ!」と叫んでもどうにもならないことが
ほとんどで、鬱病になってしまうのである。


子供の頃から刷り込まれた“気合で勝つパターン”は、逆境でもポジティブ
になれる良い面と、合理性を欠く悪い面がある。


どこかで気合主義を補正しないと、負の側面が大きくなって社会を
悪くするのではないか、と思う。