インセンティブという言葉がある。
行動などの刺激や動機という意味で、経済用語では報酬に対する刺激を
意味する。
よくエコノミストたちは、努力した人と努力しない人が同じ報酬だとすると
インセンティブが働かない、と言う。
がんばればがんばった分だけ俺のものになる、という歩合制がお好みの
ようだ。
私もある程度はこの心理を認めるのだが、問題は税金でもこのようなこ
とを言う奴がいることだ。
せっかく稼いでも、がっぽり税金でもっていかれたらやる気が出なくなる。
だから所得が高い人に高い税金をかけるのはいかがなものか、という
理屈である。
違うのだ。
異常に金を稼ぐ人は、金を稼ぐ行為そのものに淫している。
報酬はそのおまけにすぎない。
だから、たとえ収入の9割を税金にとられたとしても、異常な執念で、
より稼ごうとするだろう。
たしかに、普通の人なら、税金をとられるから、もう働くのがバカらしく
なったよ、というだろう。
だが、異常に金を稼ぐ人は仕事中毒である。普通の人ではない。
彼らに好きなだけ働かせて、いくらでも税金をとったらいいのである。
累進課税というシステムは、実によく考えられた制度だと思う。