追悼 双葉十三郎

外国映画ぼくの500本 (文春新書)

外国映画ぼくの500本 (文春新書)

とうとう双葉十三郎さんが亡くなってしまった。99歳。
戦前から膨大な量の映画を見て、点数表をつけていたが、晩年にいたるまで
まったくブレがなかったと思う。


彼のような映画評論家が存在しえたのは、ビデオやDVDが普及しておらず、
映画館で映画を見るしかなかった時代であろう。
つまり、時系列的に映画を鑑賞する時代の最後の巨星だったと言える。


現在は教養がバカにされるので、文学でも映画でも、この名作を鑑賞して
おかなければ話にならん、ということはない。
むしろ、ほとんど誰も知らないような作品のディティールを語って得意に
なるような、悪い意味でのオタクさが横溢している。


いや、そういう人もいなくなって、みんなが勝手にいろんなものを見て、
勝手に語っている状況かもしれない。


そういう茫漠とした中で、双葉十三郎さんの映画評は北極星のように輝
いているのではなかろうか。
ご冥福をお祈りします。