Boaz2009-09-08

今日はセンター試験の過去問の解説をした。
2008年の小説の問題で、漱石の「彼岸過迄」の一部である。
20年ぐらい前に読んだけど、すっかり忘れていた。


「僕」(須永)と千代子という2人がいて、「僕」の母親は幼馴染の
千代子と結婚させたいと思っているのだが、「僕」はその気はない。
そこへ高木というイギリス帰りの洒脱な男性があらわれ、「僕」は
千代子と親しげに話す高木に嫉妬してしまう、という場面だった。


漱石の小説では、女性に恋愛の決定権がないかのように描かれる。
「こころ」のときもそうだったが、この「彼岸過迄」の引用された
部分もそう読める。


これは時代がそうだったからとも言えるが、恋愛というものに対し
漱石が疑いの目を持っていたからかもしれない。


ちょっと気になって、家に帰って続きを読んでみたら、そういうわ
けでもなかった。
千代子は煮え切らない「僕」に対して、はっきりと卑怯だと言って
いるのである。


次の授業のとき、千代子も「僕」に対して惹かれていたのだ、とい
うことを生徒に伝えておきたいと思う。