うなぎ

私は魚介類が苦手なのだが、その私をして旨いと言わしめるうなぎ屋が
都内にいくつかあって、数年に一度ぐらい食べに行っていた。


いま、うなぎはホカ弁屋でも普通に売られている。
ほんの20年ぐらい前までは、うなぎは特別な食べ物だったと思う。
オトナが高い金を払って食べる高級なもので、決して日常のものではな
かった。


うなぎ自体が増えたのか、養殖の技術が進歩したのか分からないが、こ
れほどうなぎが流通しているのだから、何かがあったに違いない。


だが、うなぎは素材もさることながら、焼き方とタレでおいしさの半分
以上が決まる。
どこかの工場でうなぎがさばかれ、自動的に蒲焼になっていく様子をテ
レビで見たことがあるが、あれはもったいないのではないか。


一流の職人に捌かれたうなぎは幸せだ。
本当は、すべてのうなぎは一流のうなぎ職人に調理されるべきなのだ。


ところが、グローバリゼーションという奴は、うなぎにも安さと大量生
産を強いる。
そこそこのうなぎが安く食べられるようになったのかもしれないが、は
たしてそれはいいことなのか。


旨いものは、値段も高くていいと思うのだが。