幻のチラシ

塾で定期テスト対策というのをやっている。
中間・期末テストで良い点をとらせるためだ。
なぜそんなことをしているかというと、高校入試のとき内申点も重視される
からである。


外部の人に宣伝するためにチラシを作るのだが、毎回うちの塾のチラシは
生徒の作文とか順位○番アップ!とか、あまり面白くない。


そこで私は考えた。
表面は通常どおり、定期テスト対策の日時や料金、塾の場所や電話番号など、
必要な情報を入れる。
しかし、裏面には期末テスト範囲の過去問をいくつか載せる。
「3分で解けなかったら○○塾へ!」とか書いて、なるべくチラシを読ませ
たい。


チラシは英語編と数学編の二種類を色違いで刷る。
そして、英語編には数学の解答を、数学編には英語の解答を載せる。
チラシを見た人は、もう一種類別のチラシがあることに気づく仕組みだ。


問題を載せる広告は、日能研が昔からやっているので目新しくはない。
でも、保護者がちょっと解いてみたくなるように誘導することはできる。
少なくとも生徒の作文とか順位アップの一覧表よりはキャッチーだろう。


この提案を本部にあげたところ、却下された。
いい塾だという評価を得るためには、作文や成績アップの一覧表が一番効果
があるのだ、ということらしい。
また、過去に問題を載せたチラシを配ったが、反応が悪かったというのも、
ボツになった理由である。


勢いのある会社は、こういうアイデアに乗ってくれそうなものだが、冒険は
許されないようだ。たかだか数千枚のチラシなのだが。


企画がボツになることは、どんな会社でもあるだろうし、いちいち落ち込ん
でいても話にならない。
私も、たぶん理解されないだろうなーと思っていたから、特に腹は立たなか
った。やる気は失ったけど。


現場の意見を全否定するんだったら、本部でフォーマットを作ってくれない
だろうか。我々はその通りにやればいいのだから。
こういうことは、チラシの裏にでも書いておけばいい話ですけどね。