ジャワカレー

子供のころ、お誕生日会というのをやった。
友だちを呼んで、プレゼントをもらって、一緒にケーキとかを食べて遊ぶ。
私も人並みに、小学生のときに数回やったことがある。


あれは小学5年生のころだったか、狭いアパートに6人ぐらいの友だちが来て祝ってくれた。
誕生日プレゼントをもらって、ケーキを食べて、それなりに盛り上がったところで、母が
カレーを作って出してきた。


小学生にカレーは正しい判断である。
みんな目を輝かせて待っていた。
カレーぐらいで何故? と思われるかもしれないが、当時の日本はけっこう貧しかったの
である。


さて、出されたカレーを一口食べた友だちは、次第に無言になっていった。
私も食べてみると異常に辛い。
少なくとも、子供向けの味ではなかった。


おかわりが出ることを予想して、鍋いっぱい作ったカレーのルーは、半分ぐらい余ってし
まった。それでも、礼儀正しい友だちたちは、一言もカレーが辛かったとは言わず、おと
なしく帰っていった。


後で台所に行くと、ジャワカレーの辛口の箱があった。
なぜジャワカレーなのか。しかも辛口。大人でもけっこう刺激的なレベルだというのに。


おそらく、母はバーモントカレーのルーを買ってきたものの、作っていて全く足りない
ことに気がついたのだろう。
しかし、うちにあるルーのストックはジャワカレーの辛口しかなかったのだ。


急遽それをぶち込んで、まともなカレーのとろみをつけたのだろうが、大失敗に終わった
というわけ。


なんでこんなことを思い出したかというと、今日の晩飯が自分で作ったカレーだったから
だ。
ちなみにここ10年ぐらい、母がカレーを作ったのを見たことがない。
老人はあまりカレーを好まないのかもしれない。