マイルス・デイヴィスとは誰か

マイルス・デイヴィスとは誰か (平凡社新書)

マイルス・デイヴィスとは誰か (平凡社新書)

マイルス・デイヴィス本人ではなく、彼をとりまく21人の人物を評することで、逆にマイルス・
デイヴィスを浮き上がらせようという企画である。
ところどころ分からない部分(特に平野啓一郎のパートで)があったが面白かった。


私はマイルスの長いキャリアの中で、後期の“黄金のクインテッド”時代が最も好きである。
それ以降の電子楽器が入ったやつは、正直どう聴いていいのか分からない。
ちょうど黒澤映画でいうと、後期の白黒時代が好きで、カラーになってからはよく分からない
のに似ている。


マイルス・デイヴィスという人は、常に大衆の人気を集めていたい人で、ジミ・ヘンドリック
スやマイケル・ジャクソンが大観衆を熱狂させているのを見て、俺もかくあらねば、と強く思
ったという。
すでに大御所だったにもかかわらず、コンテンポラリーなものへの興味がなくならないのは、
晩年の手塚治虫のようである。
天才とは、そういうものなのだろうか。


ジャズに限らず、現在の音楽シーンはあまり活気が無いようである。
携帯ツール向けのダウンロードは増えているみたいだけれど、ジャンルが細分化してしまい、
大衆の熱気は感じられない。


このような状況をマイルス・デイヴィスはどう思うのだろうか。
まさか携帯ツール向けの楽曲をレコーディングしたりはしないだろうが、何らかのアプローチ
をしたのかもしれない。


ジャズをオーディオ装置で再生するときは、なるべくなら高級なスピーカーで鳴らしたいもの
だ。家庭でそういうことができない時代は、ジャズ喫茶というものがあった。
やがて各家庭でもそれなりの再生装置が買えるようになり、ジャズ喫茶は衰退していった。


さらに現在では、オーディオオタクでない限り、高価なスピーカーなど持っていない。
音響装置とジャズは、一蓮托生なところがあったのかもしれない。


巨大なスピーカーで

アガルタ

アガルタ

とかを聴いたら、エレクトリック・マイルスも少しは理解できたかも。


でも、本当は

フォア&モア

フォア&モア

こいつを大音響で聴いてみたい。
このCDでマイルスに興味を持てなかったら、たぶん縁がないと思って諦めた方がいい。


などと偉そうに書いているけれど、音楽なんて自分が気に入ったものを聴いていればそれで
いいのである。
いまの中学生は、エグザイルは知ってても、ポール・マッカートニーを知らないんだし。

ジャガーとランドローバーがインドのタタ財閥に買収されました。
宗主国の面子が丸つぶれです。
いつか日本も中国に買収されてしまうのでしょうか。