田舎でも、いわゆる“おばさんパーマ”というのを見ることが少なくなった。
おそらく、全国の美容師の世代交代が完了したのだろう。
そもそも、あのヘアスタイルは誰が発明して、どうやって全国に普及していったのか、調べて
みれば面白いかもしれない。
現在は、どんな髪型にするのか自由度が高いけれど、ほんの20年ぐらい前までは、ある程度の
年齢の女性はショートヘアで少しきつめのウェーブがかかっていた。
ロングでストレートの髪型のおばさんは、ほとんどいなかったと思う。
家事労働が大変だから、長い髪の毛を手入れするよりも、短くしてパーマをかけた方が楽だっ
たのかもしれないし、そもそも選択肢がそれしかなかったのかもしれない。
とにかく、おばさんパーマの呪縛はつい最近まで全国を覆っていたのである。
私が思うに、当時は結婚する女性の割合が高かっただろうから、一つの型としてあのような髪
にすることで、既婚者の仲間入りをしていたのではなかろうか。
ほぼ同じような髪型にすることで、主婦のアイデンティティを保っていたのかもしれない。
ところが、今の主婦たちは生まれたときから豊かであり、何よりもダサいことを嫌う。
特に自分の母親世代に対して、一種の貧乏臭さを感じているとしたら、絶対に同じような髪
型にはしないだろう。
なので、彼女たちは驚くほど若く見える。
いろいろ努力はしているのだろうが、それを差し引いても若さをキープできているのは驚きだ。
逆に言えば、老成することを拒否しているようにも見える。
40代の女性が、20代の女性と同じヘアスタイルなのはどうなんだろうと思うが、怖くなるのは
これからである。
今の世代がどんどん高齢化してくると、これまで一般的にイメージされてきた“おばあさんの
髪型”というものが崩れてしまうだろう。
別にそうなったらなったで全く問題はないのだけれど、70代なのに20代と同じ髪型というのは
グロテスクな気がしてならない。
これって、世界的な流れなのだろうか。
いや、そもそも外国に“おばさんパーマ”があるのかどうかも分からないのだが。