選択と集中

東芝HD-DVDから撤退したときも、たしか選択と集中という言葉が使われていたように思う。
この言葉は最近の流行みたいだが、リスク管理の点でどうなんだろうか。


人類史上、最初に選択と集中が行われたのは、農業ではなかろうか。
それまでモザイク状に点在していた植物のうち、食料になるものを選択し、田畑で集中的に
栽培した。
これによって、植物を育てる手間は減り、収穫量は増えたはずだ。


そういうメリットがある一方で、害虫や天災などで壊滅的な被害を受けることもあっただろ
う。点在していると、そういうリスクを分散することができる。
もともと生物は、そのような壊滅的なダメージを受けても、少数のものが生き残れるように
点在しているわけで、選択と集中はやられるときには一気にやられてしまう危険性がある。


よく、欧米を狩猟民族社会、日本を農耕民族社会と例えることがあり、この説が果たして有
効かどうかは分からないが、もしそうだとしたら、選択と集中は明らかに農耕社会の産物で
はなかろうか。


いや、牧畜だって家畜を集めて育てる点で選択と集中だ、と言えるかもしれないな。
ただ、農業の方が受けるダメージが大きいような気がする。


現在、多国籍企業選択と集中をスローガンに事業の再編成を行っている。
そこまでしないと儲けが出ないというのは、どっかおかしいんじゃないかと私なんかは思う
のだが、もし何かでコケたとき、壊滅的なダメージが出るのは選択と集中をした企業だろう。


ということは、予め何かのリスクを読み込んでおかないと企業経営はうまくいかないわけで、
そんな未来予想ができる人はなかなかいないのではないか、と思う。


本文と写真はまったく関係ありません

日付は去年のものです