ダブルバインド

ダブルバインドとは、ある人が言葉の意味と態度において矛盾した状況に置かれること、だ
そうだ。
私が読んだ内田樹の本では、次のように説明されていた。


例えば運動部のコーチが選手たちを叱るとき、「お前ら、やる気があるのか?」と問う。
選手たちが「あります」と答えると、「その程度でやる気があると言えるのか!」と怒ら
れ、「ないです」と答えると、「ないとはどういうことだ!」と怒られる。
このように、どう答えても追い込まれる状況がダブルバインドである、と。


今日、うちの塾に、ある子の父親が体験授業の申し込みに来た。
ふつうは親子で来るものだが、子供は外で待っているという。


父親の話によると、塾に行くかどうかを決めるのは最終的には子供なのだそうだ。
しかし、どう聞いても父親が言外にプレッシャーを与えて、子供を無理やりそうさせようと
していることは明らかである。


これは、子供の意思を尊重すると言いながら、実際には子供を思い通りに管理していること
になり、子供からみるとダブルバインドの状況に置かれている。


面談を終えて外に出た父親と入れ替わるように入ってきた子供を見ると、もう可哀想なぐら
い不安定な表情をしている。
もしかしたら学校でいじめられているのかもしれない。


このままの状況が続けば、どこかで親子関係が破綻するだろう。
かといって、父親に「あなたは間違ったことをしている」とは言えない。
なんとか子供が楽になるようにしたいのだが、私はカウンセラーではないので、ほとんど力
になってあげられないのが残念だ。


入塾して、ふだんの授業でそれとなく励ますことができればいいのだが‥‥