メタルテープ

カセットテープには、昔いろいろな種類があった。
普通のものはノーマルテープと呼ばれ、汎用性のあるものだったが、音楽を録音するには
クォリティが低かった。


そこでメーカーは、高級オーディオでも十分再生できるようなハイクオリティのカセット
テープを開発・販売した。
それがクロームテープやメタルテープと呼ばれるものである。


私もレンタルしてきたLPレコードやCDを、せっせとメタルテープにダビングしたものだ。
残念ながらうちにハイエンドなカセットデッキはなかったけれど、何となくテープは高い
のを使っとこう、と思っていたのだ。


ところが、現在、日本にはメタルテープを生産していなくて、普通の店には売っていない
のだそうだ。
しかし、稀に田舎などに行くと、大量の在庫を抱えている店があるらしい。


そういうところでメタルテープを発見すると、オーディオマニアが全部買い占めてしまう。
店側も一本100円ぐらいの値段で処分できるなら、と喜んで売ってくれるそうだ。


実は、メタルテープはオークションで一本数百円ぐらいから売られており、うまくいけば
何倍もの儲けが出るという。
記録媒体としては、そんなに使い勝手のいいものとは思えないが、超高級カセットデッキ
で再生すると、とてもいい音が出るらしい。


うちにもメタルテープはあったっけな、と思って探してみると、10本ぐらい出てきた。
すでに何かを録音してあるものでも値段はつくらしい。
売るつもりはないけど。


先進国以外では、いまだにカセットテープが音楽の主流メディアだという。
いい音で聴くとかいうレベルではなく、ただ音楽を楽しむためにあるのだろう。
私はそちらの方が、音楽に対して純粋なような気もするが、趣味の問題なので他人がとや
かくいうべきことではない。


あ、そういやVHSのビデオテープにも、ノーマルとHGのモデルがあったっけ。
その上の高級ビデオテープも売っていたはずだが、もう店頭から姿を消しつつある。
DVDになると、もう何が高級なのかさっぱり分からない。録画さえできればそれでいい、と
いうレベルの人がほとんどではなかろうか。


録音・録画がデジタルになってからは、そういうのにこだわらなくなったような気がする。
それはそれで寂しい。
逆に、DVD-RはCPRM対応とか、ビデオモードやVRモードとか、本当にややこしい。
どうにかならんのだろうか。