早起き族

この世の人間は、早起き族と寝坊族に分けられる。
私は後者だが、世間ではどちらの方が多いのだろうか。


眠いけれど、学校や仕事があるから仕方なく起きている人がほとんどだと思うが、中には
本当に早起きが好きな人もいる。
どこかで読んだが、東芝の現社長は朝7時に出社しているそうだ。
部下の迷惑も考えたらどうだ、と思うが、こういう無駄にエネルギッシュな人が出世する
のだろう。


「早起きは三文の得」という諺がある。
いつごろ成立したものかは分からないが、こういう言葉があるということは、早起きをす
るのが苦手な人が多かったのだろう。
そうでないと、わざわざ「得」をアピールする意味がない。


一説によると、早起きは資本主義の勃興に関わっているらしいが、もっと大昔から習慣づ
けられていたのかもしれない。
狩猟や農耕をしていたら、どうしても日の出とともに起きなければならないだろうし、夜
はすることがないから寝るしかない。
そういう集団の中で、いつまでもごろごろ寝ていたら仲間はずれにされるだろう。


ということは、寝坊する人が多くなったのは、夜遅くまで起きていることができるように
なってからである。
近代までは、夜更かしできるのは豊かな人だけだったのだろう。
庶民が仕事以外で深夜まで起きていられるようになったのは、案外最近のことなのかもし
れない。


そうすると、私が多数派だと勝手に思っている寝坊派は、実はそれほど多くないのだろう
か。眠いのを我慢しつつ早起きしなければならない人は、けっこういるはずだが。


それとは逆に、早起きできる人はバリバリ仕事をこなすイメージがあり、生まれつきテン
ションが高いのだろう。
楽しげにゴルフや釣りの話をしている人を見ると、ちょっと羨ましい。
そして、こういう人が世の中を動かしているのだと思う。


私はとにかく寝るのが大好きなので、睡眠時間を削られるのが何よりも辛い。
早起き族は、この気持ちが一生理解できないに違いない。