思い出し怒り

俗に瞬間湯沸かし器と言われるような、すぐにカッとなって怒りを表現できる人がいる。
ああいうのは非常にうらやましい。
その場で発散できて、後にはあまり残らないだろうからだ。


私はその場で怒ったりすることはほとんどない。
怒りを表現する術をしらない、と言った方がいいかもしれない。


そうすると、後から思い出してムラムラと怒りがこみ上げてくることが多い。
すでに目の前には誰もいないのだから、怒りをぶつけられないのだが、想像の中で罵詈雑言を
浴びせて何とか気を紛らわせている。


こういう私のようなニクロム線タイプは、怒りを持続させることができる。
一度腹を立てた相手には二度と会う気はしないし、たとえ顔をあわさざるを得なくなっても、
完全に無視する。


どうしてそこまで怒れるのかというと、じっくり時間をかけて自分と相手の言動を吟味するか
らである。そして、どう考えても相手が悪いと結論づけられたとき、初めて怒りが点火する。
すぐにカッとなれる人は、このプロセスをすっとばしているから、自分が悪いことでも怒って
しまうのだ。


しかし、その場に相手がいると、怒りをぶつけてスッキリするだろうし、誤解があれば解くこ
ともできるだろう。
一般的にサッパリした印象を与えるのは、瞬間湯沸かし器タイプである。


私は滅多なことで腹を立てないけれど、本当に怒ったら相手を絶対に許さない。
だから、一度ケンカしたらほぼ関係の修復は不可能である。
こういうのは大人気ない態度だと思うが、自分ではどうしようもない。


高倉健の映画のように、我慢に我慢を重ねて最後にキレる、というメンタリティを、私も持っ
ているのである。
実に日本人らしいと思うが、もっと怒りを小出しにして、破局を避けるようにするべきだ、と
も思う。