ヴァーチャル・ワイフ

ネット上には、男なのに女になりすますネットオカマ(通称ネカマ)や、女なのに男になりすます
ネットオナベ(通称ネナベ)がいるらしい。


幸か不幸か私は遭遇したことがないか、ずっと騙されているかのどちらかだが、これってやってる
人は楽しいんだろうか。


以前、友だちとメールをやりとりしているとき、架空の嫁のことを書き記す遊びをしたことがあっ
た。最後の方に『妻が紅茶をいれてくれたので、このへんで』とか、いないのにでっち上げるので
ある。


友だちの方も心得ているから、『じゃあ、美人の奥さんによろしく』などと返信してくるわけで、
いま思うとなんて虚しいことをやってたんだろう、と思う。


さて、これだけブログが書かれているが、ネカマやネナベはともかく、ヴァーチャル・ワイフや
ヴァーチャル・ハズバンドを作っている人はいるだろうか? 
(結婚してなければヴァーチャル・ラヴァーでもいいのだが)


よく、アイドル好きな人のブログには『俺の嫁の○○』とか『妹の××』など、ちょいと痛いこ
とが書かれてあるが、これは読み手も書き手も冗談だと分かっているから笑える。
ところが、ネカマやネナベは、本気で他人を騙そうとしている。


そもそも、違う性になりすますのがどういう快感をもたらすのかが分からないけれど、まったく
架空の妻や夫を作り上げるのも、同じような快感があるのではないか。


いわば、自分の考えた物語を多くの人が本気にするわけだから、小説家にでもなったような気分
になるのかもしれない。
その嘘を完全につき続けられるかどうかは分からないけど。


私はお人よしというか、あまり疑うことを知らないので、ネット上の人格をそのまま受け取って
いるのだが、これは疑い始めたらキリがないことになる。
だって、本当は男か女か、中年か若者か、既婚か未婚かなど、本当かどうか分からないでしょう? 


しかも、そこに「本当」を求めても意味があるのかどうかも分からない。
実際に会うことがなければ、ヴァーチャルな空間だけが「本当」なわけだし。


たしか、こういう思考実験をしている小説があったと思うけど、うまい落としどころがあったの
だろうか。結局は、現実に会うことが一番いいのだ、という話になりそうな気がする。


人間の身体というのは、言語以外で多くのことを語っているから、ネット空間だけの関係では分
からない部分が見えるはずだ。
そういう意識は旧世代のものだ、と言われればそれまでだけど。


本文と写真はまったく関係ありません

(O^〜^)<仕事がなくなったら、とーちゃんのとこに戻って来い!