ボリビアの絵葉書

高校時代の友人Oが西荻の私の下宿をいきなり訪れたのは、89年の春だったろうか。
夜の7時ごろ、テレビを見ていたら玄関のドアがノックされ、真っ黒に日焼けしたOが立っていた
のだ。


今晩泊めてくれ、というのでとりあえず部屋に入ってもらった。
話を聞くと、卒業旅行で南米に行ってきたそうだ。
(どうでもいいが、私の友人はなぜか南米を旅行する奴が多い)


Oは実家から四国の大学に通っているので、成田からすぐには帰らず、私のところに一泊して東京
見物をするらしい。
それはいいのだが、せめて連絡ぐらいしてくれ、と言うと、ちゃんとハガキに書いたという。
そんなハガキは受け取ってないんだけどなぁ。


どこから出したのか聞いてみたら、ボリビアで二週間ぐらい前に投函したという。
なるほど、そりゃ到着しないね、とお互い苦笑いして、とりあえず風呂に行った。
(下宿には風呂がなかったのです)


日本の郵便は、おそらく世界で最も速く正確に届けられると思うが、よその国の郵便の信頼度はどの
くらいなんだろうか。
私もヨーロッパから絵葉書を出したことがあるが、みんなきちんと届いていたと思う。


先進国だったら、出した郵便物が届くのは当たり前の感覚だが、中にはそうとう配達率の悪い国もあ
るんだろう。
これはシステムの問題というより、国民性なのかもしれない。


そういえば何かの雑誌で、何十年も前に出した手紙が郵便局内で発見され、すっかり老人になってし
まった人に届けられた話を読んだことがある。
遅配は迷惑なだけだが、ある程度の年数を経てしまうと美談になるのだろう。


Oは一泊して帰っていったが、その後ずっと会っていないし、ボリビアからの絵葉書も届かないまま
だ。今頃、南米のどこかの郵便局に忘れられているのかと思うと、少し切ない。
私が長生きしたら、ひょんなことからその絵葉書が届けられるかもしれないな。
そのときは、Oの家を訪ねて一泊させてもらおうと思う。連絡先を知らないけど。


さすがに電子メールでは、こういうことは起きないだろう。
でも、大昔に出したメールが届けられたら、それはそれで懐かしいはずだ。
メールのタイムカプセルサービスなんてのをやったら面白いかもね。


本文と写真はまったく関係ありません

( ・e・)。oO(ボリ‥‥ビア?)