マンガの単行本の作り方

15年前の作り方なので、デジタル入稿とかはどうなっているのか知らない。


1.単行本の版型とページ数を決める
 ただし、すでに決まった大きさの単行本が出版されていれば、それに従う。
 まったくの素の状態から作る場合は、どんな紙にするかも決めなければならない。


2.台割をつくる
 台割(だいわり)とは、単行本の基礎になる設計図のようなもので、どの原稿がどのページに
 入るかを決めるためにある。
 印刷は16ページで一単位なので、単行本のページ数は必ず16の倍数になっている。


 台割ができると、空いているページがどのくらいあるか分かる。
 連載マンガの場合、通常は奇数ページ(単行本を開いた左側)で始まり、偶数ページで終わる。
 ところが、場合によっては偶数ページから始まる回もある。これを「見開き起こし」という。


 前の話が偶数ページで終わり、次の話が奇数ページで始まっていれば、そのままページが続く
 が、偶数ページで終わって偶数ページで始まれば、間に真っ白な1ページができる。
 通常、ここにはカットを入れたり、オマケを入れたりするが、マンガ家によっては描き直して
 空白を作らないこともある。


3.デザイナーやマンガ家と打ち合わせをする
 カバーイラストをどのようにするか、デザインをどのようにするかを打ち合わせする。
 デザイナーには、ロゴや著者名をどの位置にするか、どんな色にするか、などを考えてもらう。
 また、マンガ家には、オマケをどうするか、気に入らない部分や間違った部分の描き直しをど
 うするか決めてもらう。
 目次や中扉をどうするかも相談しておく。


4.写植を打ちなおし、欄外を外す
 マンガの原稿のふきだしの部分は、写植という印刷した文字を切って貼り付けている。
 連載時に間違っているところや、直したい部分は新しい写植を発注して訂正しておく。
 また、欄外に貼り付けてある「絶賛発売中!」とか「次号はどうなる?」のような写植もきれ
 いに剥がしておく。


5.カバーを入稿する
 マンガ家からカバーイラストを受け取り、デザイナーに渡す。締め切り日までに完成デザイン
 を受け取り、印刷会社に入稿する。
 カラー原稿なので早めに出しておくことが望ましい。


6.校了紙をつくる
 台割に従って、校了紙に原稿の縮小コピーを貼り付ける。
 校了紙とは、印刷可能領域のどの部分に原稿を配置するかを指定する用紙である。
 どの原稿が何ページに位置し、はみ出した絵をどこで断ち切るかを決めなければならない。
             
 これは文字原稿の配置を図にしたものだが、マンガ原稿の場合もほぼ同様である。


7.校了紙・原稿をそろえて印刷会社に入稿する
 全ページがそろっているか確認し、ミスのないように渡す。
 あとは印刷会社の仕事だが、何かこちらの手違いがある場合は確認の電話が入る。
 できれば原稿のコピーを手元に持っておきたいが、普通はそこまでする余裕はない。


8.カバー・本文の出稿を受け取り、校正する
 カバーはデザイナーに確認してもらい、イメージと違った場合は修正してもらう。
 本文は青焼きという16ページ分が一枚になった大きな紙で出てくる。
 ここで印刷のズレや写植の間違いなど、最終チェックをする。
 責任者に確認をしてもらい、責了のサインをもらったら印刷会社へ渡す。
 これでほぼ完了。


9.製本された単行本を受け取る
 完成した単行本をマンガ家やデザイナーに贈呈する。


マンガの単行本を作るときに気をつけることは、締め切りである。
多忙なマンガ家やデザイナーが指定した期日に仕上げてくれるかどうかは分からない。
また、マンガ家によっては妙にオマケのページをがんばってくれる人と、まったくやらない人が
いる。
どちらかというと前者はオタク系の作家で、後者はアート系の作家が多いような気がする。


なお、初版に限って帯がつくときがある。
単行本のカバーの、もうひとつ外側に巻いてある紙のことだ。
うまい帯は、いいコピーが入っている。きっと担当編集者の思い入れが強い作品なんだろうな、
と思う。


最近のマンガの単行本は、もっと便利な作り方になっているのだろうか。


本文と写真はまったく関係ありません

从´∇`从<うちらの描いた絵を集めて、たんこ本ができたらいいな