アイドル保険

元モーニング娘。辻希美に対して、妊娠によって仕事に穴をあけるなんてけしからん、とか
ファンの気持ちを裏切ったという批判があるが、私は間違っていると思う。


まず、舞台を降板したり、新しいユニットを開店休業状態にしたことで、関係者に迷惑をかけ
た、という批判である。
これは確かに本人が悪い。


が、実害を被ったのはマネージメントをしている事務所や、契約先の関係者および代役を勤め
たタレントである。
彼らが辻本人に文句を言うのは正しいが、それ以外の人間は黙っているべきだろう。


そもそも、そうやって批判している人は、自然をコントロールできると考えるタイプである。


工業製品のような人工物と違って、天候や体調のような自然は制御できない。
恋愛や妊娠は、コントロールできる部分もあるが、通常は人為的にどうこうすることはできな
い種類のものだろう。
来週の水曜日からこの人を好きになろう、とか普通は思わないし、義務としてのセックスなん
て苦痛でしかない。


一方、仕事のスケジュールは完全に人為的なコントロール下におかれる。
何でも思い通りになるはずなのに、予想不可能なことが起こった場合、その怒りの矛先はど
こに向かうだろうか? それはコントロールを乱したものに対してであろう。


だが、アイドルは工業製品ではなく人間である。
他に代替するものがないからこそ、アイドルはアイドルとしての価値があるのだ。
だいたい辻の魅力は、コントロールを逸脱するアナーキーさにあったのではないのか? 
仕事に穴をあけたと叩いている人は、一度も恋をしたり体調を崩したことがないのだろうか。


また、ファンの気持ちを裏切ったという批判は、ファンとアイドルの間に等価交換が成り立っ
ていると錯覚しているだけだ。
私はこれだけのお金を使ってグッズを買ったり、応援しに行ったのだから、それに見合う価値
を受け取れるはずだ、と思っているのが等価交換の考え方だろう。


残念ながら、それは自己満足にすぎない。


ファンなしではアイドルは成立しないかもしれないが、アイドルなしではそもそもファンが存
在できまい。いかなる場合であろうと、アイドル>ファンなのである。
決してアイドル=ファン、アイドル<ファンではない。


なので、ファンとアイドルの間には等価交換は成り立たない。
むしろ、アイドルは存在するだけでファンに何かを与えている、と考えなければならない。
そこに経済活動が持ち込まれるのは、単純にファンとアイドルの間にある事務所が儲かるから
である。


それでも、応援していたアイドルが妊娠して結婚する、と聞かされたら、なんか納得いかない
という人もたくさんいるだろう。
そこで私はアイドル保険というものを考えた。


毎月数千円の掛け金を払って、突発的な理由でアイドルが活動できなくなった場合、保険に入
っている人だけを対象にしたファンの集いが開かれ、アイドルに直接お別れを言うことができ
る、というものである。
(ただし、アイドルに危険が及ぶ場合があるので、できれば刑務所の面会室のような場所で、
完全に遮断した形なのが望ましい)


自分で言ってることと矛盾するけど、これなら応援していた気持ちの整理もつくのではないか
と思う。
事務所としては、アイドルが長期間活動すればするほど利益があがるし、掛け捨てなので返金
することもない。
問題は、毎月の掛け金が高いので加入するファンはほとんどいないだろうということである。


本文と写真はまったく関係がありません

从*^ー^)<保険も扱っております