初日の出

毎年、松山にいて晴れているときは、城山に登って初日の出を拝むことにしている。
松山城は、津山城・姫路城にならぶ日本三大連立式平山城だそうで、松山市のランドマークだが
ふだん登るのは主に観光客である。


元旦の日の出を見たからといってどうなるわけでもないのだが、一昨年は雨が降っていて、去年は
酔いつぶれていて行かなかったので、久しぶりだし出かけてみた。


ふつうの人が徒歩で登ると、15分から20分ぐらいだろうか。
けっこうしんどかったが、日の出が見える場所には大勢の人がいた。年配の人、若者、家族連れが
中心で、私のように一人で来ているオッサンはあまりいなかったと思う。


初日の出を待つ間は、ただただ明るくなっていく山の向こうをぼーっと見ているだけで退屈である。
そうすると、辛抱のきかない若者たちは喋って間をもたせようとする。
この会話を聞くともなしに聞いていると、あまりの内容のなさにイラッとする。


そういえば、10年以上前だったか、親子で来ていた家族の子供が、雲間から太陽がなかなか出ない
ので
「太陽がお布団をかぶって出てこないね」
と言い放った。
小学5年生ぐらいの男の子だった。
なんかうまいこと言ったつもりかもしれんが、周りはいたたまれない空気になったぞ。


7時33分ごろようやく太陽が出てきて、見に来た人がいっせいにデジカメや携帯を取り出して写真を
撮り始めた。
偶然、兄がそれをふもとから見ていたらしく、遠くからでもフラッシュがピカピカ光るのがわかった
そうだ。

松山城から見た初日の出)


2分も初日の出を見ていると、もうやることがないので、ほとんどの人はぞろぞろと帰りだす。
私はせっかく登ったので、上からの風景を撮っていた。
後から気づいたのだが、レンズにべっとり指紋がついており、最悪の結果になっている。ああ。

松山城から南の方角を撮影したもの。よく見ると高島屋の屋上にある観覧車がわかる)


初日の出を拝む習慣があるのは日本だけなのだろうか? 
正月にすることを「初○○」とありがたがるのも、日本だけの奇習かもしれない。


司馬遼太郎が何かに書いていたが、神道を分かりやすくいうと、きれいなものときたないものを分ける
ことなのだそうだ。
つまり、去年までのきたないものを一度ぜんぶチャラにして、新年はまっさらできれいなものにする、
という習慣になるのだろう。


私の人生もそうやってリセットしたいものだが、現実はただただ歳をとっていくだけなのですよ。
せめて気持ちだけでも新しく、ということですな。
がんばりましょう。



(朝日に映える松山城天守閣の一部)