チェルノブイリ

チェルノブイリ原発事故から、まる20年になるという。
当時、私は広島で浪人しており、受験勉強のため、新聞もテレビもない生活をしていた
ので、日本でどのくらい報道されたかは知らない。


翌年、無事に大学に合格でき、上京してからしばらくして、学校の生協で広瀬隆
「危険な話」をなんとなく手に取った。
立ち読みして、マジでビビッた。
明日にも日本の原発が事故を起こすようなことを書いてあるではないか。


不安になって、「東京に原発を!」とか「億万長者はハリウッドを殺す」なんかを読んで、
ますます怖くなっていく悪循環に陥った。
いま口にしているものが、放射能で汚染されていたらどうしよう‥‥などと、クヨクヨ
考えていたのだから、いま考えるとバカらしい。


その後、広瀬隆の本は、「買ってはいけない」のような、読者を恫喝して部数を伸ばす
類いの本と同じであることが分かって、ずいぶん気が楽になった。
原発が大規模な事故を起こすことは、滅多にないのだ。
(ただ、その後にあった東海村のJCO臨界事故にはびっくりしたけど)


かといって、私は原発をどんどこ建設すればいいじゃない、という立場でもない。
放射性廃棄物をゴミと考えたとき、どうやって最終的に処理するかが決まらない限り、
コストがかかり続けるんじゃないかと思う。
軌道エレベーターを建設して宇宙へ捨てる、ってのも、コストがかかりすぎるか(笑)


それに、電力需要というのは、人間の欲望をベースに上昇するものだから、きりが無い
のである。エアコンとPCとDVDとゲーム機をつけっぱなしにして生活していれば、そりゃ
電力は不足するだろう。
欲望に合わせて発電施設を作っていたら、いつまで経っても供給不足になるさ。


日本に限れば、これから人口がどんどん減るんだから、100年後ぐらいには原発をなくす
くらいの視野で考えたらいいんじゃないかしら。現状は必要だし。
事故やトラブルは、フィクションの世界だけで十分である。


東野圭吾の「天空の蜂」は、原発を狙った犯罪を描いたサスペンスもので面白かった。

天空の蜂 (講談社文庫)

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あと、「太陽を盗んだ男」という映画も良かったな。
太陽を盗んだ男 [DVD]

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しがない物理教師役の沢田研二が、狭いアパートの中で、鉄腕アトムの歌を唄いながら
原子爆弾を作るんですよ。そりゃ、被曝するってw
監督の長谷川和彦は、この映画以降、新しいものを撮影してない。残念だ。