白夜行

白夜行

白夜行

原作の小説は、夜を徹して読んだ。それでも二段組で相当のボリュームが
あったので、何日もかかったけど、とにかく面白かった。
東野圭吾は、節目ごとにこういう大作を書いていて、それぞれに素晴らしい。
その作品がドラマ化されるというので、期待して見た。


悪くはなかった。
ていうか、初回の二時間スペシャルの大半が子役だったのだが、どうなんだろう? と
心配になった。確かに、主人公たちの子供時代の殺人事件が全体の鍵になるのだが、
小説では最後の方で真相が語られるはずだ。いきなりネタをばらしていいものか。


それと残念だったのは、小説ではパソコンゲームの歴史が巧みにストーリーに織り込まれて
いて、時代設定を読者にリアルに感じさせるようになっていたのだが、ドラマでは1991年
から2006年の話になってしまったので、そのような仕掛けが丸ごとなくなっていることだ。
30歳以上の人だったら、NECのPC8800とか9800シリーズなど、とても懐かしい名前が出て
くるので、ぜひ小説を読んでみてください。


キャスティングでいうと、子供時代の雪穂を演じた、たしか「女王の教室」で頭のいい子の
役だった女の子がよかった。
それから、なんといっても武田鉄矢の、粘っこい刑事がいい。善人より、むしろ悪人を
演じた方が光るんじゃないかしら。
あ、それと、なぜか彼だけが下手くそな関西弁だったが、別に東京の言葉でもよかったん
じゃないかね? 


ちなみに、この「白夜行」と対になる作品として「幻夜」がある。
まったく別の物語なのだが、やはり美女に振り回される男がえらい目に遭う。
東野圭吾の女性観が、なんとなく浮き上がってくるように見えるのは私だけだろうか。