イルミネーション狩り

もしかしたら、すでに発生しているかもしれないが、今後も起こりうるであろう事件を
予想する。断っておくが、起きてほしいと思っているわけでは決してない。


クリスマスが近くなると、家の外側をイルミネーションで飾る家庭が増えている。
私のうちの近所でも、全長2mはあろうかという巨大なクマのプーさん(サンタバージョ
ン)が玄関に鎮座しているところがあった。もちろん、電飾も縦横に吊るされている。
「私のうちは、こんなに幸せなんですよ」
と道行く人に自慢しているかのようである。


もし、強盗をするとしたら、イルミネーションがある家とない家のどちらを選ぶだろうか?
私ならイルミネーションがある家を狙う。


強盗のプロならば、そんな飾りつけに惑わされず、確実にお金を持っている家の情報を
手に入れてから決行するだろう。
だが、このご時勢、突発的に犯罪に走る人間が多く出る可能性は否定できまい。
そういう、後先考えない奴は、イルミネーションを狙うのではないか、ということだ。


もうひとつ、心が荒んでいる人間にとって、他人の幸せは憎悪の対象になりやすい。
未来に絶望した人間が増えれば、不満の捌け口として、イルミネーションを破壊していく
行為が流行するかもしれない。
いや、たぶん「イルミネーション狩り」という名前(長いか)で流行すると思う。


いつからクリスマスは、私にとって、他人の幸せを嫉妬する催しになったのだろうか? 
サンタクロースの服は、私が流した血の涙で染まっているのである。
(と書くと、まるで私がイルミネーションを破壊しているかのようだが、違うよ)