ひも理論

かなり胡散臭いことを書く。たぶん、引かれるだろうな。


人間関係を、一本のヒモで考えてみる。
人と人の間に、ヒモがあるとする。そのヒモは、お互いが無関心な場合、だらりと
垂れている。張力ゼロの状態だ。


逆に、お互いに興味がある場合、ヒモはぴんと張っている。
どちらかが興味を失った場合、ヒモは一方的に引っ張られる状態になる。
このとき、引っ張られる側はあまりに力が強いと苦痛を感じる。
ストーカーは、無理やり引っ張る暴力と考えられる。


ヒモにはある程度の長さが必要だ。
あまりに長すぎると引っ張るのに疲れるし、短すぎても意味がない。
前者は遠距離恋愛に、後者は近親者に例えられるだろうか。


また、本人でないものを引っ張ることもある。
アイドルに興味がある場合は、その人の幻影にヒモをひっかけて引く。
幻影は実体ではないので、スカスカしている。だから、引いている人はいくらでも
ヒモを引き続けることができる。


引いている間は、手ごたえがないけれど、ヒモを引くという行為そのものに熱中する。
飽きれば自分で引くことをやめてしまう。


人間でないものにヒモをかけた場合、かけた存在が巨大ならば張力は高まる。
芸術や科学に一生を賭けるとき、ヒモはぴんと張った状態を保つだろう。
(まれに、たぐりよせてしまう人もいる)


私はヒモを引く力を失ってしまった。
哀しい話である。