いじめである。
阿久津先生は、盗みについては徹底的に追求するが、いじめに関しては放置する。
なぜか? いじめを自分で克服できる強さを持たせるためだそうだ。
だったら、盗みだって盗まれる方が悪いという見方だってできるだろう。
もはや、阿久津先生は純粋な悪意として存在しているのだ。
主人公の神田和美ちゃんは、泣きながら阿久津先生に叫ぶ。
「なんでいじめるのよ!」
そのとき阿久津先生が言った台詞は
「いいかげん、目覚めなさい!」
だった。
はて、神田和美は、どんな夢を見ているというのだろう。
戦後民主主義教育という夢か?
それを否定するのはいいのだが、高度資本主義の激烈な競争社会で生き抜け、
というのも酷な話である。
フツーの人が、フツーの生活をする社会は、そんな抑圧を必要としないだろう。
ねえ、なんでそんなに働かなきゃならないの?