- 作者: 万城目学
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2016/03/19
- メディア: 単行本
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この小説は、村上春樹における「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の
ようなものか。
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私は万城目学のエッセイで、ジブリ美術館の幽霊塔の企画展を見たときに、宮崎駿の
「私達の感覚はたての運動につよく反応する」という言葉に関連して「バベル九朔」に
ついて述べているのを読んで、買ってみた。
勝手に、ブルース・リーの「死亡遊戯」みたいに、階段を登るたびに敵が現れて倒していく
話かな、と思っていたのだが、そんな単純なものではなかった。
作家になろうとする若者の自我を見つめる話、とでも言うべきだろうか。
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それよりも、「バベル九朔」は「偉大なる、しゅららぼん」とリンクしているのが
分かって、そっちの方に興奮した。
主人公の祖父はおそらく八郎潟があったころの湖の民で、九朔満男と名前にさんずいが
ついている。
そして三人の子供は初恵、富士子、三津子で、三女だけにさんずいがつき、その三女の
子供が主人公の満大である。
やはり名前にさんずいがついており、祖父の力も受け継いでいる。
そして、虚構の世界の真中には大きな湖があり、主人公の冒険はそこからスタートする。
ただし、「偉大なる、しゅららぼん」のように、不思議な能力を使うわけではない。
いや、使うといえば使うのだが、そのあたりがもどかしいのである。
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どうも、万城目学は舞台が関西地方でないと伸び伸びと書けないのではないか、と
思うのだが、本人はあまり意識していないのかもしれない。
次は和歌山の熊野古道あたりの物語を書いてくれたら面白そうだ。