日本人のための世界史入門

日本人のための世界史入門 (新潮新書)

日本人のための世界史入門 (新潮新書)

面白かった。猫猫先生の講談をわくわくしながら聴いているような
気分になれる、実にお得な本である。


おそらく、私は著者が想定した読者層とぴったりだったからだろう。
インテリではないけれど、知識に憧れのある大卒の人、というくくり
になるだろうか。
いわば「知の中間層」とでもいうべき人たちに向けて書かれたものだ
と思う。


なので、ときおり歴史上の人物をガンダムの登場人物に例えたりして
おり、オタクにも分かりやすいし、見るべき映画なども推薦している。
(できれば巻末に、そういう推薦図書・映画の一覧があればよかった)


難関大学に進学するような学校の高校生は、一読しておくと便利だし、
MARCHレベルの大学生も読んでおくべきだろう。
それ以下の学歴の人たちには、もしかしたら猫猫先生は絶望している
のかもしれない。
そうでなければ、タイトルを「日本人のための」ではなく「バカのための」
にしているからである。



エリート層でも、理系の人は特に歴史が嫌いではないかと思う。
私が思うに、歴史には公式がないからではないか。


理系の人の目から見ると、歴史なんかは、他人がゆうべ見た夢の話を
聞かされているようで、脈絡もなくただイライラして退屈なだけなの
だろう。


逆に、理系マインドを持った人が歴史に興味を持ったりすると、偶然
の集積にすぎないものに法則性を当てはめたくなるのかもしれない。


ところで、理系の人からも、数学や理科について、だいたいでいいから
このくらいのことは知っておいてほしい、と啓蒙するような本は出て
いるのだろうか? 


たぶんたくさんあるはずだが、ふっと思い出せるものはない。
内容は似たり寄ったりなのだろうが、読者に届くような書き方ではない
からではないか。
編集者の腕に期待しよう。