「空気」と「世間」

「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

この本は、いじめを受けている中学生のために書かれたそうだ。
なので、世の中にフィットしている人や、いわゆる大人たちは、
読んでいてそれほどピンとこないかもしれない。


というのも、対立軸が日本と欧米なので、わかりやすいけれども
薄っぺらいのだ。
本書で紹介されている、阿部謹也山本七平の本以外に、もう少
文化人類学的な知見が欲しかったと思う。


その意味では内田樹の「日本辺境論」の方が読み応えがあるけれ
ど、これも武道について書いてあるところが妙に読みにくい。


こういう「空気」について書かれた本がたくさん出ているのか、
それとも私が気になってそういう本ばかり選んでいるのか分から
ないが、どうも世の中が不自由になっているのは確かなようだ。


それは、スノーボード選手の服装が問題になったことでも分かる。


私は個人的には、ああいうファッションを好む奴が嫌いだけれど、
競技に出場するのを辞退させるよう圧力をかける「空気」は異常
だと思う。


そもそも、なんで同じ服を着て移動しなければならないのだろう
か? 彼が私服で行っていたら、これほど騒がれることもなかっ
ただろう。


いい大人が、選手団なるものを作って集団行動させることを誰も
疑問に思わないのが不思議だ。