日本の難点

日本の難点 (幻冬舎新書)

日本の難点 (幻冬舎新書)

「本書はこれ以上はあり得ないというほど、噛み砕いて書かれています」と
あとがきにあるが、半分ぐらい分からなかった。
分かったのは、私の頭が悪いということである。


宮台真司という人は、前からずいぶん胡散臭い人だと思っていたので、著書
を読んだことはなかったのだが、これを初めて読んでみて、インテリという
のはあまり役に立たないのだなぁ、と思った。


いろんなことを知っていて、問題の対策を論じられても、世の中はそんなに
簡単には動かない。
そういうやるせなさのようなものが感じられた。


私が読んで引っかかったのは、本当にすごい人というのが世の中にいて、そ
ういう人はパブリックマインドに溢れていて、周りの人がつい真似してしま
う、というところだ。


漢文でいうところの「君子」のような人はたしかにいるのだろうが、ではそ
の君子をどうやって生み出すのか、という問題がある。
今までもこれからも、君子は天然モノでしか得られない。
その資源は枯渇することはないのだろうか? 


あるいは、君子は教育によって作ることができるか、という疑問がある。
私はできないと思う。何の根拠もないが、そう確信する。


とすると、本当にすごい人をどうやってうまく育てていくか、という技術が
大切になっていくけれど、本書では「感情教育」がよい、ということになって
いる。
それって、学校でやれるものでしょうか? 親にしかできないとすると、親
は誰から感情教育の方法を習うのだろう、と思う。