鴨川ホルモー

原作は読んでいない。映画としては、まあ普通だった。手堅い、といえば
いいだろうか。


友だちに立命館大学に行っていた人がいて、京都は何度も訪れたことがある。
しかし、名所旧跡には行かず、彼の下宿の周りをうろちょろしただけだった。
いま思うと惜しいことをした。


京都市内は、青春するのにちょうどいい大きさである。
立命館に通っていた友だちも大学生活を満喫していて、すごく羨ましかった。


もちろん、東京もそういうことができないわけではないが、繁華街が点在し
ているので、なんとなく拡散した感じがするのだ。
移動が基本的に電車なのも、距離の感覚を断絶するというか、本当はそんな
に離れていないわけではないのに、遠いイメージになる。


その点、京都の街中は基本的に自転車や徒歩で移動できるし、地理的にタイ
トで把握しやすい。
ただし、やたらと小さい通りが多いのでディティールが細かく奥が深い。
だから、京都を舞台にした物語がたくさん生まれるのかもしれない。


鴨川ホルモー」では、性格の悪い女に惚れてしまった主人公が翻弄されて
傷つき、新たな恋人を見つけるまでのストーリーが描かれている。
やはり女はひどい生き物であるなぁ、としみじみ思った。


映画では、性格の悪い女に芦名星、主人公を助ける女に栗山千明がキャステ
ィングされていた。
いちおう、芦名星は美人、栗山千明はブスという設定だが、実は栗山千明
方が美人である。


現実はこんなに都合よくないはずだが、映画なので夢が必要なのだろう。
実際の京都大学理学部の女子には、どのくらい美人がいるのか。
ちょっと知りたいところだ。


一ヶ所だけひっかかったのは、男子部員たちが吉田神社で「ワンサカ娘」を
歌いながら全裸になるシーンだ。
この歌はレナウンのCMソングで、たしか40年ぐらい前の歌である。


だったら、それより昔はどういう儀式をしていたのか。
なにしろホルモーは何百年も前から行われているはずで、「ワンサカ娘」は
新しすぎるのではないか、と思う。
そのあたりの説明は、もしかしたら小説にあるのかもしれない。