- 作者: 月本洋
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/04/10
- メディア: 単行本
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されていないというか、研究途上の論文を読んでいるような気がした。
ただ、これからは言語学にもこのような脳科学の手法がどんどん取り入れられ
るべきだと思うし、できれば両方の学会の人がコラボレートすれば、もっと面
白くなるんじゃないかな、と思う。
この本によると、母音の比重度が大きい言語は、日本語やポリネシア系の言語
で、主語を省く傾向があるそうだ。
逆に英語やオランダ語のような、子音の比重度が大きい言語は、どうしても主
語が必要になるらしい。
なぜそうなるかは、ぜひ本を読んで確認してほしいけれど、使用する言語によ
って脳の使う場所が異なるのが不思議だった。
そうすると、生まれたときはどんな言語でも一つだけインストールが可能だが、
その後はなかなか難しいというのもよく分かる。
なぜなら、一度構築された神経系統を、また別に組み立てなければならなくな
るからで、そんな負荷をかけるメリットはあまりないからである。
ただし、系統が似ているヨーロッパの言語だと、脳が処理する場所も似ている
から、数ヶ国語を操る人も珍しくないだろう。
日本語をインストールされた人は、その点でも不利だと思う。
ポリネシア系言語を母国語とする人は、ヨーロッパ系の外国語を習得するのが
苦手なのだろうか。
調査して実証してほしいものだ。
主語が必要だからといって、言語として優れているわけではない、ということ
が分かっただけでも、読んでよかったと思う。