- 作者: 日垣隆
- 出版社/メーカー: ワック
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 新書
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ラジオの分かりやすいトークを記録しているから、あまり難しくなくスラスラ読めた。
ただ、他の専門家からは反論があるだろうけれど、割と強引に話を進めている印象があって、
できればディベート形式で展開した方が、より論点がくっきりとあぶりだされるのではない
かと。
私が驚いたのは、「動物保護運動のまやかし」の中のワシントン条約の話である。
梅崎義人というジャーナリストによると
私はワシントン条約について絶対に許せないことがあります。なんと例外規定として象の
スポーツ・ハンティングが認められているのです。欧米の金持ちが5〜6人で国立公園に出か
けて豪華なロッジに泊まり、2〜3日かけて大きな牙をもっている象を探し当てて仕留める。
「これはスポーツ・ハンティングで取った象牙である」という証明書を政府からもらいさえ
すれば、象牙をアメリカに持ち帰ることもOKなのです。象1頭のスポーツ・ハンティング料は
ジンバブエで約95万円です。
という。
私は、ワシントン条約というものは動物保護のための国際取引条約かと思っていたが、どう
やら欧米人にとって都合のいいインチキなものらしい。
絶滅の恐れがある、とされている動物のいくつかは、科学的・合理的な根拠がないのだそう
だ。
もちろん、だからといって動物をバンバン殺していいわけではないけれど、タイマイの養殖
に成功したキューバのように、食料として食べた海亀の廃棄物である甲羅を、ベッコウ細工
で再利用するために日本に輸出するのを禁止するのはどうかと思う。
また、現在ではグリーンピースという環境保護団体の胡散臭さは、多くの人に指摘されてい
るが、日垣もこのように述べている。
グリーンピースが欺瞞的だと思うのは、地道にいろいろな動物を守ろうとはしないことです。
トキなどまさに絶滅の危機に瀕しているというのに、彼らは「トキを守ろう!」とは言わない。
彼らにとってはトキを守ってもお金にはなりませんし、どうでもいいのでしょう。
グリーンピースがキャンペーンに使うのは、人々が涙を流してくれるようなターゲットのみ
です。一度目標を定めたら、彼らは徹底的にキャンペーンを張る。彼らが作っているビデオは、
ヤラセではないかと思われるものがけっこうあります。
この後、別の人と捕鯨問題についてもトークをしていて面白いけれど、クジラが魚を食べてい
るから漁獲量が減っている、という理屈はきちんとしたデータを出して説明してほしかった。
クジラの数と魚を食べる量・人間が魚を獲る量・魚の量という3つの変数が、歴史的にどのよ
うな変化をみせているか例示してくれたら、より分かりやすかったと思う。
白人(アングロサクソン)に対する不満は、本書でしばしば言及されているし、「コードギアス」
でも語られている。
日本人以外の有色人種は、このようなことを本やアニメにしているのだろうか?
イスラム原理主義者は、実際に行動しているけれども。