激流中国 ボランティア教師

中国では、豊かになった沿岸部の大学生が、西部の貧困地域の学校に一年間ボランティアで赴任し、
そこで中学生や高校生を教えることが行われているそうだ。


上海の復旦大学の女性が、寧夏回族自治区の村にある学校に行き、そこでの生活を撮影していた。
先進国並みの生活をしていた彼女が、貧乏に直面しながらも、懸命に手助けしようともがいている
姿が心を打った。


教室に入って高校生に英語を教える場面を見ると、生徒たちの顔がとても老けて見える。
過酷な農作業がそうさせたのだろう。
教える方の若さとのコントラストが際立っていた。


田舎の高校生たちが何人いるかは分からなかったけれど、大学に進学するのは10人程度だそうだ。
その他の子たちはどうなるのだろうか。農作業に戻るのか、都市へ出稼ぎに行くのか、番組の中で
フォローしてほしかった。


本来、このような貧困と教育の問題は、政府の仕事だろう。
大学生のボランティアを利用することは、中国共産党が考えたのかもしれない。
この番組でコーディネーターをしていた莫邦富朝日新聞の日曜版にコラムを書いており、かつて
中国共産党によって強制的に行われた下放と、現在のボランティアを比較していた。


下放された世代は、都市部と農村部の落差がどのくらいだったのだろう。
現在ほど大きくなかったのではないか。


いまの世代が農村の現実を知り、行政やビジネスの中枢部を担うようになったとして、果たして貧
困が解消されるかどうかは疑問だ。
しかし、貧困を体験したことは、何らかのリアクションになって波及するのではないかと思う。


日本にも、このような貧困は昭和30年代ぐらいまでは当たり前のようにあったはずで、現代の中国
は、日本の高度経済成長前夜の状況と似ているのかもしれない。
ただ、人口や国土の広さが全く違うので、日本モデルはほとんど参考にならない気がする。


ところで、同じような広い領土を持った米国やロシアは、教育の問題をどのように解決しているの
だろうか。
貧困層ウォッカや麻薬でズタボロになっていると思うが、中国も酒やドラッグが農村部に流入
てくる可能性は否定できまい。


いろいろと考えさせられる番組だった。