- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/12/14
- メディア: 新書
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今の状況では地球が持たないのが分かっているのだから、1960年代前半に戻ればいいではないか、
という。
本当ならば、産業革命が原因なのだから、それ以前に戻せばいいだろうが、それではあまりにも
リアリティがなさすぎるので、妥協して1960年代前半にしたそうだ。
この時代だと、自動車も飛行機もコンピューターもあるので、今よりもそれほど困らないだろう、
という判断だ。
さらに言うならば、当時は高層ビルがなかったので、それらを全て取り壊す。
取り壊すにも技術やお金が必要だから、これは立派な仕事になるし、大都市への仕事や人口の集
中を緩和できる。
大都市にいる人は、オフィスやマンションが激減するのだから、地方へ移住せざるを得ないから
だ。
書いている本人も、めちゃくちゃな話だ、と言っているように、これが実現することは限りなく
ゼロに近い。
正直、私もインターネットの便利さを捨ててしまえないだろうと思う。
ただ、産業革命的なものが行き詰まりになってきたな、というのは実に正しくて、これを何とか
しないと人類の未来はないな、とも考える。
産業革命以前は、必要なものを必要なだけ作っていればそれでよかった。
ところが、大量生産が可能になったので、必要でないものを大量に作って、それから売る相手を
考える、という倒錯したことになっていったのだ。
これに成功すれば、生産手段を持った少数の人が大金持ちになれる。
ただそれだけのために、多くの人や資源が犠牲にならなければならないのは、どっかおかしくな
いか? という話だ。
私が一番分からないのは、大金を投資/投機しているファンドである。
彼らは何のためにお金を増やしているのか。
こうしたお金は、一日に1兆ドルも動いているという。
1兆ドルといえば、現在のレートでざっと110兆円だ。
110兆円、と簡単に書いてしまうが、これはどのくらいの金額か。
仮に、1秒間に一万円札を2枚数えられるとしよう。
1分で120万円、1時間で7200万円、1日で17億2800万円、1年で6307億2000万円、10年で6兆3072
億円、100年で63兆720億円である。
つまり、ぶっ通しで約174年ほど一万円札を数え続けてようやく終わる数が110兆円ということにな
る。
これが一日で動いている、というのは、もはや尋常な取引ではない。
どこかでスローダウンさせなければ、絶対にクラッシュするはずだ。
中学生は公民で資本主義の拡大再生産、という概念を学ぶ。
前の年よりも生産を増やすために、儲けの一部を設備投資する、ということだ。
あくまで理論の話だから、世の中の会社がみんな拡大再生産をしているわけではないが、基本的
には前年よりも儲けようとしているのは確かだ。
一方で地球は有限である。
有限の資源を使って、無限の競争をすることはできないと思うが、数学ではどうなんだろうか?
もはや投機マネーは高等数学なしではやっていけないと思うが、素人から見ると、危険なことをや
っているように見える。
何のために1日1兆ドルも動かして金儲けをしているのか。
誰か教えてほしい。