日曜日に録画しておいたNHKスペシャル「激流中国」を見た。
今回は土地の強制収用である。
中国は全土が国有だが、改革解放政策で土地の使用権が認められるようになった。
ところが、都市の再開発のために、認められていた権利が行政当局から一方的に剥奪され、長年
住んでいたところを追い出される人が多いという。
普通なら、土地を開発する業者なり行政当局なりが、代替地を見つけて住民と補償交渉をするは
ずなのだが、極端に条件が悪かったりすると住民との話し合いがこじれる場合がある。
不動産投資は儲かるので、いちいち住んでいる人間のことなんか考えないのが中国流だ。
そうすると、住民たちは行政を相手取って訴訟を起こす。
これも普通なら当然の権利だが、なんと中国では行政訴訟ができるようになったのも改革解放政
策以降なんだそうだ。
ただ、政府の人間の立場も分かる気がする。
土地収用の映像を見ていると、とてもじゃないが住民との話し合いにはならないのだ。
言いたいことを怒鳴りちらすだけで、まともな教育を受けている人は多くないように見える。
そういう人々に行政訴訟を許せば、各地で大混乱になる。
国の枠組みを守るためにも、うかつに自由は与えられないということだろう。
ま、どこの国の官僚も、国民はバカなんだから俺の言うことを黙って聞いてりゃ幸せになるんだぜ、
と思っていることに違いはなく、共産主義はそれが極端になっただけだと思う。
話がそれた。
土地をめぐる攻防は、結局、行政が勝利した。
ガラガラと崩される家の映像を見て、中国は遅れてるなぁ、と思うのは簡単だ。
ただ、この番組は当然ながら、中国政府の許可を得て取材したものだろう。
とすると、中国としては、わが国も行政訴訟ができる民主的な国になったんですよ、とアピール
する思惑があったのかもしれない。
NHKにそういう意図があったかは定かではないけれど。
日本でも成田空港建設予定地をめぐって、行政と住民の関係がこじれにこじれたことがあった。
この問題は、新左翼たちに利用された面もあるような気がするが、行政側の強引さが目立ってい
た。なんで首都圏の空港をあんな遠くに作らなければならなかったのか、いまだによく分からな
い。
なので、いま中国で起こっていることを、日本人が馬鹿にして嗤ってはいかんのではないか、と
思う。むしろ、行政の土地利用計画が妥当なのかどうかを判断する機関を作るとかの提言をした
方がいいのではないかと。
もっとも、そんなことを聞いてくれる国だったら、そもそも普通に外交できてるんだけどね。
本文と写真はまったく関係ありません
川´・_o・)<地方のことはよく分からないよ