ドク・ハリウッド

ドク・ハリウッド [DVD]

ドク・ハリウッド [DVD]

“憎めない好青年”役を演じたマイケル・J・フォックス主演の映画で、そこそこの作品だった。
東海岸からビバリーヒルズへ愛車で移動中の若い医師が、ひょんなことで南部の田舎町に滞在す
ることになり、そのうち街の人の温かさに触れて‥‥というストーリー。


金儲けが全てだった医者が地域医療に目覚めるという話だが、映画のテンポがよくないので損を
している。監督の腕があまりよくなかったみたいだ。


なお、このところ話題になっている米国の医療保険制度の問題は、この映画では全く出てこない。
病院に来た人は誰でも診療するし、お金がなければ飼っているブタで支払われたりしている。
そういえば、米国のテレビドラマ「ER」でも、医療保険は大きなトラブルにはなってなかったと
思う。
「ジョンQ」が作られるまで、この問題はタブーだったのだろうか? 


それはともかく、ハリウッド映画で南部が舞台になると、たいてい気の強い女や保守的な男たち
が登場する。この作品にも、そういうお約束に縛られたキャラクターが登場するが、なんだか地
域性が出すぎているような気がした。
米国人には、そこが面白かったのかもしれないけど。


マイケル・J・フォックスのキャリアを見てみると、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でスター
になった後、「愛と栄光への日々」「再会の街ブライツ・ライト・ビッグ・シティ」「カジュア
ティーズ」とシリアス系の作品に主演し、ことごとく失敗している。
(この時期に主演した「摩天楼はバラ色に」はコメディ系で、そこそこ当たっていた)


おそらく、自分のイメージを脱却して性格俳優っぽい路線に行きたかったのだろうが、世間が求
めていたのは、愛される好青年のマイケル・J・フォックスだった。
そこで「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」からは従来の路線に戻って、キャリアを仕切りな
おしている。


この「ドク・ハリウッド」も、その後の好青年路線のひとつで、悪くない演技をしていると思う。
ただ、背が低く若く見られるので、役を選択する上での、ある種の行き詰まりは本人も感じてい
たのだろう。


おまけに、ちょうどこの作品ごろから難病のパーキンソン病に罹り、96年以降はテレビシリーズ
や声優の仕事にシフトしていく。
抜群のコメディセンスを持っていただけに、残念だ。


彼と入れ替わるようにスターになったのが、同じくカナダ出身のジム・キャリーだった。
こちらはマイケル・J・フォックスと違い、下ネタ爆発のコメディアンだったが、同じようにシリ
アス系の役でコケたことがある。
(ただ、「トゥルーマン・ショー」はとてもいい映画だったし、興行的にもヒットした)


結局、日本に輸入されるハリウッド映画で、マイケル・J・フォックスのように小柄で茶目っ気の
ある人が演じるコメディ系の作品は途切れてしまったようだ。
その穴は、おそらくピクサー社などのアニメーション映画が埋めているのだろう。


いま、ハリウッド映画でコメディ系の俳優というと、ジャック・ブラックか、ベン・スティラー
になるのだろうか。よく分からん。


本文と写真はまったく関係ありません

( `.∀´)<ハロプロでコメディエンヌといえばワシじゃろ?