キサラギ

面白かった。特にアイドルが好きな人なら、必ず見ておくべきなのでは、と思う。
私もモーニング娘。Berryz工房が大好きなので、この映画に登場する人の心理は少しだけ分かる。


如月ミキというグラビアアイドルが謎の死を遂げてから一年、パソコンのファンサイトの掲示板で
呼びかけた追悼のオフ会に5人の男がやってくる。
そこで、5人と如月ミキとの意外な関係が暴露され、彼女の死の真相が明らかになっていく、とい
うミステリー仕立ての物語だ。


もともとは舞台の脚本ではないかと思われる設定で、登場人物は回想シーンを除いて同じ部屋を動
かないし、伏線のはり方とその回収方法も映画やテレビドラマとは違う緻密さがある。
また、最初の印象と違った、キャラクターのどんでん返しがある演出も演劇的だ。


それだけに、各役者の演技力がないとうまく芝居にならないのだが、出演者全員が見事に演技をし
ているおかげで、まったく退屈しないで見ることができた。ちょっと小出恵介がウザかったけれど、
脚本上ああいう役がいないと沈黙が多くなってしまうので仕方がないのだろう。
香川照之のうまさは群を抜いており、世界レベルの役者なんじゃねーの、とさえ思う。


ネタバレになるから詳しくは書けないが、オフ会を主催した男以外は、何らかの形でグラビアアイ
ドルとつながりがあるのが面白かった。
映画の冒頭では、主催した男が自分の秘蔵コレクションを自慢していたのだが、最後になるとその
自信を失ってしまう。だって自分だけ仲間はずれみたいなものだから。


しかし、アイドルというのは本人に直接会えばよし、というものではない。
映画の中でも、アイドルは虚像だ、という台詞がある。
あくまでも、メディアやイベントを通して得られるものがアイドルなのだろう。
その証拠に、オフ会に現れたときの何人かは、主催者の秘蔵コレクションを非常に楽しみにしてい
た。直接アイドルと会ったことがあるにも関わらず、である。


ここで屁理屈を述べるならば、女のハダカがエロいわけではなく、エロい視線で見るからエロく見
える、というのと同じである。
そうでなければ、性倒錯を説明できない。
(例えば、ほとんどの男は小学生男子に全く性的な欲望を抱かないが、稀に抱く人もる。
当たり前だが、小学生男子がエロいわけではなく、変態がそのように見ているだけだ)


これと同様に、アイドルは本人そのものではなく、あくまでイメージに対して萌えるものだ、とい
うことが言えよう。
なので、私はアイドルの私生活を盗み見たりする奴は、自分で自分の首を絞めているとしか思えな
いのである。


映画では、オフ会を主催した男が、最もアイドルとファンの関係として立派だった、という話にな
っていた。私は、これをアイドル論のひとつの回答として見た。
見る人を選ぶタイプの映画だが、一度でもアイドルにはまったことのある人ならお薦めである。


でも、最後の宍戸錠のところは、正直クドかったかな、と思う。
あと、エンドロールでヲタ芸をしてたけど、あの振り付けはちょっと古いやつなのでは? 


本文と写真はまったく関係ありません

从釻v釻)<ヲタ芸は嫌いじゃないですよ