eensy-weensyモンスター

eensy-weensy モンスター (1) (花とゆめCOMICS)

eensy-weensy モンスター (1) (花とゆめCOMICS)

津田雅美の作品を読むのは「彼氏彼女の事情」に続いて二作目だ。
前作は途中でかなりダークな話になって、正直読むのが辛かったのだが、これは楽しめた。
とはいえ、やっぱり女は底意地の悪い生き物だなぁ、と思ったけど。


表題にある「モンスター」は、おそらく主人公の女の子の心の中にある悪意のことだろう。
しかし、どうやら自分の悪意を自覚しているのはその子だけらしい。
他の女子たちは自己嫌悪することなく、当たり前のように悪意を撒き散らしている。
そこが恐ろしかった。


というのも、主人公の学校には「王子」と呼ばれる大変モテる男の子がいるのだが、主人公
だけはその男の薄っぺらさが許せず、つい本人の目の前で暴言を吐いてしまう。
それに傷ついた王子は、他の女子に慰めを求めるのだが、返ってきた答えは
「だって王子 自分のことしか好きじゃないじゃん」
「自分が気分よければ それでいいんだよネ」
「みんな王子が大好きだけどぉ つきあいたいとは思わないもんっ」
である。


こんなことをさらっと言われたら、いくらモテても女が嫌いになるよなぁ、と私は読みながら
王子に同情してしまった。
なるほど、世間で「王子」と騒がれている人も、しょせんはその程度の扱いでしかなかったの
か、と目からウロコが落ちた思いがした。


要するに、本気で好きになる男と、キャーキャー言うアイドルは別腹なのだ。
たしか奥田民生が、バンドを組んでボーカルになると、確かに女の子からキャーキャー言われ
たけど、別にいいことは何もなかった、と言っていた。
(もちろん、いいことがいっぱいある人もたくさんいただろうけど)


ふと思ったのだが、顔はいいけど薄っぺらい男にキャーキャーいう女の子たちは、自分たちが
嫌にならないのだろうか。
もし嫌にならないとしたら、そういう自分を肯定するあたりに、女の業の深さを感じる。
そして、こういう中味が真っ黒な生き物だからこそ、せめて外見だけでも可愛くしようとバラ
ンスをとるところが面白かったりする。


男は、どこにもいない「やさしい女」という幻想がないと、傷ついて立ち上がれなくなるのだ
ろうなぁ。いろんな意味で。


本文と写真はまったく関係ありません

从*・ 。.・)<女は全員、悪魔の心を持っているの