IS インフィニット・ストラトス

IS〈インフィニット・ストラトス〉 (MF文庫J)

IS〈インフィニット・ストラトス〉 (MF文庫J)

アニメがすごく面白かったので、古本屋でたまたま5巻まで売って
いたラノベを衝動買いした。初ラノベである。


基本的には主人公の男の子の一人称で語られている。
ちょっと饒舌かな、と思うが、読んでいくうちに慣れた。
想定される読者は中学生男子だろうから、オッサンは細かいことは
気にしないで、ただ素直に萌えていればいいのだろう。


私の世代だと「サクラ大戦」と同じパターンの話で、あのゲームに
ハマった人なら絶対に楽しめる作品だ。
アドベンチャーゲームで「IS」を出してくれたらうれしい。


こういうハーレムものって、やはり「うる星やつら」が元祖なのだ
ろうか。ひとりの少年の周りに、何人も美少女が侍るという、中学
生にとっては夢のような世界である。


ハーレムものの禁忌は、誰か一人に本気になってしまうことである。
そのため、主人公の男には何らかの障壁が設けられていることが多い。
(そのリミッターを外せば簡単にエロゲーになる)


「IS」の場合は、主人公の脳に障害があるのではないかと思われるほ
ど、相手の恋愛感情に鈍い。まあ、そうするしかなかったのだろうけど、
読んでいると白々しさすら感じる。


それから、気になったのが敵キャラの悪意である。
同じくアニメの「とある魔術の禁書目録」を見ても感じたのだが、主役
と戦うときの行動が、ほとんどヤクザのようなのだ。


つまり、相手を殺傷する目的ならば、もっと簡単にすることを、わざと
時間をかけて屈辱感を味あわせるようにしているのだ。
(「IS」でいうと、5巻の186ページあたり)
例えば、腹を蹴ったり、顔を足で踏みつけたり、とにかくスイッチが入っ
たかのように凌辱モードになるのである。


もしこれが最近のラノベの特徴だとすれば、この悪意は何の象徴なのだ
ろうか? ふとしたことで人格が豹変してしまう大人たちのことかもし
れないし、自分たちに向けられた「キモい」という蔑視のことかもしれ
ない。
(なんだかラノベの読者がみんなキモいような言い方で申し訳ないが)


そういう極端な悪意を、もっと抽象化したものが、いわゆる「文学」に
なるのかなぁ、と思った。


あと、どうでもいいかもしれないが、ラノベエロゲーに登場する、主
人公の親友って何なんだろう? 
だいたい訳知り顔でいい奴、というキャラクターが定番だ。


読者は主人公に感情移入するが、主人公の親友というのは、もうひとり
の自分なのかもしれない。
そうやって、ありえないほどモテる男、というリアリティーを担保して
いるのだろうか。謎だ。


アニメと原作を比べると、「IS」の場合はアニメに軍配が上がる。

アニメは、プロの大人が作ってるなぁ、という印象だ。
きっと原作をアニメの脚本にする人(シリーズ構成?)が優秀なんだろ
う。脚色賞があれば、最優秀賞をさしあげたい。


アニメの2期が楽しみである。特にシャルが。