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アフリカのタンザニアで撮影したドキュメント映画で、ヴィクトリア湖で獲れるナイルパーチという
魚を加工して欧州へ輸送する人々や、湖の周辺で暮らすタンザニア人をインタビューしている。
題名の「ダーウィンの悪夢」とは、外部から放流された肉食性のナイルパーチが、「ダーウィンの
箱庭」といわれたヴィクトリア湖に棲息していた固有種を絶滅させつつあることを言うようだ。
映像で見ると確かに巨大で(2mぐらいある)、三枚におろして欧州や日本に輸出しているらしい。
三枚におろした後の頭や骨などは、周辺のスラムの住民の食料になる。
ウジがわいた魚の頭をフライにして売るのだそうだ。
映画が臭いを伝えなくてよかった、と思う。
このナイルパーチを加工する工場を経営しているのは、たぶんインド系の人々で、けっこう儲かっ
ているみたいだった。
インド人や中国人は、このように商売で途上国の首根っこを押さえてしまう。
なぜタンザニア人は商売のノウハウを盗もうとしないのか、不思議だ。
ナイル・パーチを外国へ運ぶのは、イリューシン76型の輸送機を操縦するウクライナ人たちだ。
ふつう飛行機のパイロットといえば、シュッとしたエリート層を想像するが、彼らは日本でいうと長
距離トラックのオッサンそのものである。
機体を自分たちで整備しているが、こんな荒い仕事で大丈夫なんだろうか、と思う。
(実際、空港の傍らには墜落した輸送機の残骸が放置されている)
そのパイロットたちは、現地の売春婦を買う。
ナイルパーチを獲る漁師たちも売春婦を買う。そしてエイズでばたばた死んでいく。
なぜか外国人相手の売春婦たちの髪型はストレートヘアだ。ヅラだろうか?
スラムにはストリートチルドレンがあふれている。片足を(たぶん地雷で)失った子もいる。
彼らは仏教でいう餓鬼道に堕ちたような暮らしをしている。
ちょっとしたことでケンカして食べ物を奪い合い、タバコやシンナー的なものに溺れる。
おそらく20歳まで生きられる子は稀だろう。
このように、我々がイメージするアフリカ=悲惨という映像が、これでもかというほど出てくるが、
疑問点もある。
インド系の人が経営するナイルパーチ加工業に雇われているタンザニア人たちが登場するが、彼ら
はどういう基準で選ばれたのか。そしてどのくらいの水準の暮らしをしているのか。
そもそも、ナイルパーチで生計を立てている人はどのくらいいるのか。
うまくぼかされているので、よく分からないのだ。
私が思うに、これはドキュメント映画の“セカイ系”である。
この監督は、スラムで悲惨な生活を送っている人々と、戦争や環境破壊をじかに接続しようとしてい
るように見える。その間にある政府や自治体の描写が極めて薄い。
ジャーナリストであれば、悲惨な部分だけをピックアップせず、そこそこの生活をしているタンザニア
人や行政担当の人もインタビューすべきだし、ナイルパーチが経済的にどのような影響を与えたかを
見せる必要があるだろう。
どちらにせよ、これを見ている先進国の人のほとんどは、映画を見ている間だけ心を痛め、すぐに豊
かな日常へ戻るんだけど。
私も、腹が減ったから、帰りに吉野家で牛丼の大盛りを食った。久しぶりだったので旨かった。
本文と写真はまったく関係ありません
( ´酈`)<ナイルパーチも三枚におろせるのれす