バブルへGO!!

先日、映画の予告編を見たら面白いかどうか分かる、などと偉そうなことを書き、なおかつ
「バブルへGO!!」は面白そうだ、とも書いた。
自分の不明を恥じ、ここに謝りたい。すいませんでした。


この映画は、バブル期に楽しかった思い出のある人だけがノスタルジーにひたるための映画で
あり、それ以外の人にとっては全く面白くない作品だと思う。
ネタバレするので隠します。




私は、タイムパラドックスものについては、精緻な脚本でないと許されないと思う。
そして、この「バブルへGO!!」はどうしようもなく荒い内容だった。
タイムトラベルという大きなウソをつくためには、その他の部分をリアルにしておかねばならな
いだろう。
だが、本作は大人の鑑賞に耐えられるような出来ではなかったと思う。
君塚良一は「TEAM」までの人だったのではないか。


タイムマシンがドラム式の洗濯機というのは百歩ゆずって認めよう。
バブル時代へ行くのだから、泡まみれになる、という洒落なんだろうし、「バック・トゥ・ザ・
フューチャー」の初期設定では、タイムマシンは冷蔵庫を改造するはずだった、というトリビア
も頭の片隅にあったのだろう。


さらに、そのタイムマシンで過去に行けるのは、身長160cm以下、胸囲80cm以下でないとダメだ、
という設定も飲み込もう。
だからといって、広末涼子でなければならない理由にはならない。
国家経済を救うのならば、いくらでも適任者はいるだろう。
なのに、どうしてキャバクラ勤めのバカな女の子なのか、納得のいく説明はない。
たとえタイムマシンを発明した母親(薬師丸ひろ子)が先に過去に行っていたとしても。


そもそも、財務官僚の秘密プロジェクトにしては、計画が杜撰すぎる。
だいたい、バブル期の大蔵事務次官に会ったところでどうなるはずもないではないか。
行き当たりばったりにもほどがある。
おまけに、後を追った娘(広末)も適当に行動しているし、本気で日本経済を救おうとしているとは
思えない。


料亭の乱闘シーンに至っては噴飯ものである。
何のために必死になって携帯を追っていたのかも分からない。
最後にテレビ局のレポーター(吹石一恵)が襖を開けて登場し、全部生中継で放送していた、と宣言
するが、なんでテレビクルーが料亭に入り込めたのかも謎だ。


悪役である大蔵次官(伊武雅刀)が警察に捕まるシーンもよく分からない。
料亭で外国の投資家と話していただけで、いったい何の罪になるというのだろう? 
大蔵官僚(小木茂光)が何を言ったから警察が動いたのか、警察組織に詳しい君塚良一に訊ねてみたい
ものだ。


そういう緩い設定の映画だというなら、フツーの女の子がバブルを体験するために過去へ行きました、
という内容でもよかったのではないか。
日本の経済がどうのこうのという設定はチャラにした方が、よりバブル期の描写をお気楽にできたと
思う。官僚があんなに暇なわけないし。


馬場監督がやりたかったのは、自分が経験したバブル期の甘い思い出を再現することだけで、それ
以外は付け足しにすぎないのだろう。
そういうのは、仲間うちだけでやってくんないかなぁ。


キャスティングだけはよかったけどね。
一度絶頂期を迎えて、いまは微妙な位置にいる広末を主演にしたのは、今が旬の女優を使うより正しい
と思うし、阿部寛も実によかった。


それにしても、バブルを楽しんだ人はどのくらいいるのだろう。
私のように、ちょうどバブル期に上京してきた地方出身のイケてない大学生は、別に楽しいことなど
ほとんどなかったような気がする。大都市から離れていた人たちにとってもそうだろう。
(あ、でも時給1200円のバイトをやったことがあるな。あれはバブル期ならではだろう)


ただし、就職に関してはラッキーな時代だったと思う。
今では信じられないかもしれないが、当時の大学3年生のところには、申し込みもしないのにビデオや
CDが届けられたのだ。
富士銀行はバレンタインだったかクリスマスだったかに、ロマンティックな音楽が入ったCDを送って
きたし、JR東海は「青年ジャパン」とかいうプロモーションビデオを送ってきた。
どんだけ金が余ってたか、という話である。


そういう千載一遇のチャンスを棒に振った人間としては、バブル期に対して恨みこそあれ、懐かしさ
などほとんどないのである。
イベントサークルを主催していた大学生やマスコミ関係の人間が浮かれていたにすぎない。


映画では、当時の人間が皆、バブル期がずっと続くと思っていたように描かれるが、それは嘘だ。
現に私は、こんなバカげたことが長続きするはずはない、とゼミの先生と喫茶店で話したのをよく憶え
ている。
ただ、こんなに経済がハードランディングするとは予想もしてなかったけど。


最後に矛盾点をもうひとつだけ。
現代に戻るとき、薬師丸ひろ子広末涼子は同時にタイムマシンに乗ったのだろうか? いや、一人
づつでもいいんだけど、最後に乗った人はどうやってドラムの外にあるスイッチを入れたのだろう? 
日立の研究所には、彼女たち以外に誰もいなかったように思えるのだが。


本文と写真はまったく関係ありません

ノリo´ゥ`リ<バブルへゴー!
从*^ー^)<5ですよ?
从釻-釻)<知らねーよ、バブルなんか