ハケンの品格

篠原涼子のイメージは、粋でいなせなお姉さん、という感じだろうが、私にしてみれば
ごっつええ感じ」で“野球”という漢字が書けなかったアホである。
ちなみに、これは「ダウンタウンのごっつええ感じ」でコントをしている若き日の篠原涼子


そういう偏見を持ったまま、ドラマ「ハケンの品格」を見た。
オッサンの私にとっては、よく分からない設定だった。


というのも、篠原涼子はスーパー派遣社員だそうで、正社員の何倍も能力があるが、契約範囲内の
労働しかしない。だから昼休みはきっちり1時間とるし、残業もやらない。
これって、周りをギスギスさせるだけで、正社員役の大泉洋が言うとおり
「ヒューマンスキル、ゼロ」
ではなかろうか? 


しかも、3ヶ月日本で働いては、ふらっとスペインに行くという生活をしている。
だったらなぜ、スペインで働かないのかが分からない。
いろんな資格を持っているし、語学も堪能だという設定ならば、別に日本の事務職にこだわらなく
ても、海外で働けばいいじゃないか、と思うがどうだろうか? 


そういう、異能な派遣社員がいる一方で、加藤あいが演じるダメな派遣社員も登場するが、この
キャラクターも無能すぎる。来月の家賃に困るぐらいだったら、やはり事務職にこだわらずに
別のバイトをすべきだし、社外秘のデータを持ち出してなくすなんてことをやったら、一発で
クビでしょ。


こういう極端な人間を出さなくても、もっと派遣社員の苛立ちや、正社員の負担をきっちり描いて
ほしい、と実際に働いている人は思うのではないか。
派遣社員にすれば、同じ仕事をしているのに、なぜ正社員にはボーナスが出るのか、という虚しさが
あるだろうし、正社員も残業で死にそうな実態を何とかしてくれよ、と悲鳴を上げているだろう。


結局、人を雇わない・教育しない、という企業の姿勢が問題なのに、それを派遣社員と正社員の
対立の構図にするから、こういうわけのわからないドラマになるんじゃないのか、と。


そもそも、番組のスポンサーがテンプスタッフやヒューマンといった人材派遣会社だから、雇用の
本質なんかドラマにできるはずはないか。
こういう会社は、外面をきれいにしているが、しょせんは人の労働をピンハネして稼ぐ、その場
しのぎの商売である。


そういう情けない仕事をしている役に、なんと安田顕が抜擢されている。いい芝居だった。
大泉洋のバーターで出演しているのかなぁ? 
だとしたら、大泉洋も出世したもんだ。
(いま、愛媛朝日放送でやっている「水曜どうでしょうクラシック」は、ヨーロッパ21カ国走破で
ドイツのケルンに来ております)


本当は、人脈を作る仲間に入れてもらえない派遣社員に未来はないのだけど、このドラマでは個人が
資格を取るなりして努力することで報われる、という嘘をついている。
そういや、人材派遣会社って、自分のところではどのくらい派遣社員を雇っているのだろうか? 


本文と写真はまったく関係ありません

||c|;・e・)<フジモト課長‥‥定時なんで帰ってもいいですか? 
从釻-釻)<何いってんだ、お前。食い終わるまでが仕事だ