ファイヤーフォックス

ファイヤーフォックス 特別版 [DVD]

ファイヤーフォックス 特別版 [DVD]

いやぁ、見事なB級映画だった。
原作の小説が時代背景を濃厚に反映しているので、ソ連が崩壊した現在から見ると、まともには
鑑賞できない。
とはいえ、いかにもクリント・イーストウッドらしい作品であり、手堅い面白さは保証されている。


1982年制作なので、まだ東西冷戦の時期である。
なんと、この映画のタイトルにもなっているソ連の戦闘機ファイヤーフォックスは、パイロットの
思考をダイレクトに感じ取り、攻撃を制御するという優れものだ。


いま見ると、そんなアホな、と一蹴できるかもしれないが、当時の雰囲気からすると、ソビエト連邦
極秘に開発した戦闘機だから、何だか知らないけど物凄い超兵器、というイメージが西側の人々の
間で共有されていたように思える。


で、クリント・イーストウッドの役どころは、この新型戦闘機をロシアから奪い去る、退役した米軍
パイロットである。母親がロシア人なので、ロシア語で思考できるから選ばれたという設定だ。
何も戦闘機ごと盗まなくても、と思うのだが、軍事バランスの優位を欠くことの恐怖が、そういう
疑問をうやむやにしている。困ったものだ。


イーストウッドは訓練を受けてから、貿易商に化けてソ連に入国する。
当時はロシアでロケなんかできなかったはずだから、ヨーロッパのどこかで撮影したはずなのだが、
調べてみると、地下鉄の撮影はウィーンでやったみたいだ。
このサイトでは、映画の中の細かい間違いを指摘していて面白い。
例えば、ソ連の将校が使っている電話は米国製である、とか。


ソ連でのイーストウッドは、コスプレ・ショーかというぐらい、いろんな衣装に着替える。
007シリーズのようなスパイ映画を意識したのだろうか? 


いろいろあって、最終的に戦闘機ファイヤーフォックスに乗って逃げるのだが、同型の二号機に追撃
される。このドッグファイトがクライマックスになるのだが、どっかで見たことのある映像だなぁ、と
思っていたら、ジョン・ダイクストラが特撮監督だった。
まんまスターウォーズだな、というシーンがあって笑ってしまった。


イーストウッドは、もしかしたらSF心がない人なのかもしれない。
実は「スターウォーズ」の何が面白いのか、よく分かってないとか。
でも、最後の空中戦は面白かったから、ダイクストラの特撮に興味を持ったんじゃないかなぁ、
と妄想する。


ところで、ソ連の軍人や官僚役で出演した役者たちの顔を見ていると、いかにも酷薄そうな人が
演じている。


ハリウッド映画の「敵」にあたるものは、かつてはナチスだったりソ連だったりしたけれど、今は
イスラム圏だろう。アラブ系に見える顔でないと使ってもらえそうにない。
白人で冷酷そうな顔をした大部屋俳優たちは、軒並み転職したのだろうか? 


本文と写真は全く関係ありません

从*` ロ´)<ブラウザの名前とは関係なかろーもん!