純情きらり完結

今朝、NHKの連ドラ「純情きらり」が終わった。
半年間、一度も欠かさず見続けてきたので、最終週は胸に迫るものがあった。
特にラスト前の、達彦(福士誠治)が桜子(宮崎あおい)の曲を演奏してラジオで放送
するシーンは、ちょっと泣きそうになった。


それにしても、ヒロインが20代半ばで死ぬという話は、朝の連ドラでは珍しいのでは
ないだろうか? 
それだけに、ラストシーンはもう一工夫してほしかった。


できれば宮崎あおいのアップで終わるよりも、達彦そっくりな青年になった輝一を
見守っている、という風な感じで終わらせると、ヒロインが亡くなってもカタルシス
あったと思う。
(ちょうど竹下景子がヒロインたちを遠くで見守っていたように)


主演の宮崎あおいも素晴らしかったのだが、このドラマの影のヒロインは寺島しのぶ
演じる笛子だろう。彼女がいなければ、非常に薄っぺらい物語になっていたに違いなく、
その圧倒的な演技力には舌を巻いた。


もうひとりの功労者は、画家の杉冬吾を演じた西島秀俊だと思う。
杉冬吾は太宰治の分身のような役で、津軽弁を話す天才画家という設定だった。
特にヒロインの桜子と心を通わせる場面は、多くの女性視聴者の琴線に触れたのでは
ないだろうか。


半年の放送期間のうち、前半の約3ヶ月は昭和13年を中心とした話になっている。
後半の2ヵ月は戦中、最後の1ヵ月は戦後の話だった。
桜子は1920年生まれという設定なので、昭和13年は18歳前後である。
ピアニストを目指して上京し、将来の夫や仲間たちと楽しく過ごす部分に全体の半分を
費やしており、いわゆる「戦前真っ暗史観」を否定しているのがうれしい。


ちなみに、達彦と結婚したのは昭和21年なので、桜子は26歳である。
それまで他の男性と何もなかったみたいだから、その歳までよく貞操を守ったものだw


戦中期を引き締めたのは、八丁味噌屋の女将を演じた戸田恵子である。
この、人当たりのキツい女性が桜子と和解するまでの物語は、それだけで一本の
ドラマになるほどの面白さだった。花登筺の「細うで繁盛記」みたいだったし。


逆に、戸田恵子と入れ替わるように戦後に再登場してヒロインを支えたのが、達彦役の
福士誠治だった。一度は死んだかと思わせて戻ってくるあたりが、今どきのドラマに
ないあざとさだが、こういうベタな展開もいいものだと思った。


それにしても、結局「純情きらり」は女たちの物語だったのだなぁ、としみじみ思う。
桜子の父親役の三浦友和や、達彦の父親役の村田雄浩は序盤で死んでしまうし、有森家の
長男もほとんど出番がなかった。
(その代わり、恋愛の相手や保護してくれる男性は次から次へと現れたけど)


ヒロインの桜子は、ピアニストになれず、味噌屋の女将になったものの途中で追い出され、
最愛の人と結婚して出産したかと思えば結核に倒れ、まさに辛酸を嘗め尽くしたような
人生だった。


それでも、ラストシーンのモノローグでも語られているように、自分の人生に誇りを
持っていた生き方は、たくさんの人に感動を与えたと思う。
一時あった朝の連ドラ不要論は、この作品で払拭できたんじゃないかな。


あ、言うまでもないことだが、音楽担当の大島ミチルは素晴らしかった。
毎回、なんとなく聴いていたオープニングのテーマ曲の隠された意味が明らかになったときは、
うまい! と思ったですよ。


本文と写真はまったく関係ありません

リd*^ー^)<食べりん(=食べなさい)っていう岡崎弁がよかったです