宇宙船製造法

私は中央公論社から出た藤子不二雄SF全短編の第二巻を持っているのだが、すでに
絶版らしい。もったいない。


この50ページの短編は、宇宙船で遭難した8人の少年少女たちがサバイバルの末に、ある
方法で宇宙船を修理して帰還するまでの物語である。
十五少年漂流記」のSF版といえばいいだろうか。


実によくできた話で、構成に一分の隙もない。
一度アニメ化されているらしいが、私は未見だ。
それよりも、なぜこれが映画にならないのか不思議でしょうがない。
ハリウッドなら飛びついているはずなのだが。


こういうジュヴナイル小説・マンガを、最近めっきり見なくなってしまった。
世界は「正しい少年」をイメージできなくなったのかもしれない。
つまり、正義というものに手垢がついて、ニヒリズムなしには語れなくなってしまった
せいで、ジュヴナイルは人気がなくなったのかもしれぬ。


その一方で、平凡な少年が修行によってどんどん強くなるパターンの話は人気がある。
もちろん、その中で正義というものが語られていることも多いわけだが、たいていは
内側(友だちや仲間)に向けての正義だろう。


ジュヴナイルは、大人から少年への贈り物である。
いまの大人たちは、恐らく自信をもって何が正しいことなのかを伝えられないのかも
しれない。
私もいい歳のオッサンなのだが、モー娘。に夢中の終わった人だからなぁ‥‥