レナード現象には理由がある

レナード現象には理由がある (ジェッツコミックス)

レナード現象には理由がある (ジェッツコミックス)

誰かのブログを見るまで、このマンガが発売されていることすら知らなかった。
なんてこったい。


久しぶりの川原泉作品だが、10年前と変わらず安心して読めた。ちょっと絵柄が
変わっているけど、ストーリーは相変わらずというか、安定して面白い。
私は「あの子の背中に羽がある」がよかった。変質者の造形がちょっとアレだったけど。


世の中には、熱い恋愛を好む人と、そうでない人がいて、川原泉は間違いなく後者だと
思う。
そして、川原泉の愛読者もそういう人が多いのではなかろうか。


「食欲魔人シリーズ」から一貫して、川原泉マンガのカップルは割れ鍋に綴じ蓋というか、
気がついたら隣にいるというか、そういうほっこりした関係である。
一緒にいるとドキドキするというよりも、安心できるタイプを求めていると思う。


たいていの場合、主人公は自分が世間の人とはちょっと(あるいは大いに)変わっている
人間だという自覚があり、しょせんそういう人間は燃え上がるような恋などできないのさ、
と諦めている風だ。


ところが、それに輪をかけて変わった男が現れて、世話をしたり事件を解決したりしている
うちに仲良くなる、というパターンが多い(ような気がする)。


少女マンガなので、恋人になる男はたいていジェントルマンである。
変な奴だが頼もしい一面も持っていて、そこに主人公はグッとくるのだ(たぶん)。


おそらく、地味系の女子にとって、川原泉のマンガは素直に共感できる要素があるのだと
思う。同時に、地味系の男子にとっても、川原泉のマンガが好きな(可愛い)女子なら、
付き合えそうな感じがするのではあるまいか。


ほら、派手系の何マタもかけているような女は怖いし、しょせん相手にされないだろうし、
しみじみ話せるような話題もないし。


そういう意味で、一定の読者層をキープできているから、川原泉のマンガの人気は長続き
するんじゃないかと思うです。マイナーかもしれないけど。


ちょっと気になったのだが、この本の中の「真面目な人には裏がある」というマンガで、
主人公の女の子の目の描き方が今までと違い違和感があった。
具体的には127ページの2コマ目や6コマ目だ。
なんか、ヤな感じ。
いろんなことで作者が傷ついたことのアクのような部分が、絵に表れているのかも。


本文と写真はまったく関係ありません

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