ジョアン・ジルベルト

三月の水

三月の水

私が一番好きなジョアン・ジルベルトのアルバムといえば、これ。
ギターとボーカルとハイハットだけの、実にシンプルな構成だが、奥行きのあるサウンド
だ。


私はブラジルに行ってからボサノバに目覚めたのだが、ジョアン・ジルベルトのCDは
日本にもあんまり出回ってなかった。
本作も1973年にレコーディングされたそうだが、日本でCD化されたのはずっと後。
私は1995年に、ロンドンのタワーレコードで偶然発見して手に入れた。ラッキー♪


ボサノバといえば、アントニオ・カルロス・ジョビンの作曲した歌も大好きで、ジョアン・
ジルベルトとのコンビは、レノン=マッカートニーと並んで20世紀最強の組み合わせだ
と思う。
ただ、もう一人の作曲家を挙げるとすれば、アリ・バローゾ(Ary Barroso)かな。
有名な「ブラジルの水彩画」を作った人だが、彼の作品をジョアン・ジルベルトが演奏
すると、不思議な魔力が宿る。


それが「Na Baixa Do Sapateiro」という曲で、聴くとなぜか切ない気持ちになる。
靴屋の坂道の下で」という意味なのかな? とにかく名曲。
失恋したとき、鬼のようにリピートした。そういうイメージで作ったはずはないと
思うのだが(笑)
(関係ないけど、スペインの首相はサパテロ。たぶん先祖は靴屋さん)


ジョアン・ジルベルトという人は、おかしなことをするという話が有名だが、そんな
ことは音楽を聴けばどうでもよくなる。
かえすがえすも残念なのは、彼の来日公演に行けなかったことだ。
70を超えたお爺さんが、わざわざ地球の反対側からやってきてくれることは、もう二度と
あるまい。


そういうわけで、悔し涙にくれながら、来日コンサートを収録したCD「イン・
トーキョー」を聴くのだった。私は、動いているジョアン・ジルベルトをまだ見たことが
ない‥‥。
ジョアン・ジルベルト・イン・トーキョー


なお、最初期のレコード2枚を一枚のCDに収録した「ジョアン・ジルベルトの伝説」が
廃盤になっているせいか、えらい高い値段がついている。
ボサノバの誕生を記録した貴重なアルバムなので、ぜひ再発してほしいものだ。

ジョアン・ジルベルトの伝説

ジョアン・ジルベルトの伝説



写真と文章はあんまり関係ありません。

(ブラジル コルコバード