繋がれた明日

19歳のとき、恋人にちょっかいを出した男をはずみで刺し殺してしまい、26歳で仮釈放に
なった男の話だ。重い。
しかし、いい意味でNHKらしさが出ていて、真面目なドラマになっている。
来週も楽しみだ。


主演の青木崇高という人は、このドラマで初めて知ったのだが、映画「海猿」や「逆境
ナイン」に出演していたそうだ。はて、「逆境ナイン」は見たはずなのだが、ほとんど
印象にないなぁ‥‥。


主人公は、保護司の助力により、解体業者の下っ端として働くことになる。
この解体業者の従業員を演じる役者たちが、みんなリアルで上手い。
たぶん、こういう現場でバイトしてた人たちばかりなんだろう。


それから、不良仲間との描写もよかった。勝手にアパートに上がりこんで酒盛りを
している、どうしようもない奴らである。
これから主人公の更正を妨げるはずで、こういう人間とは縁が切れないのかと
やきもきしてしまう。


ちょうど日垣隆の本を読んでいて、裁判官はこういう底辺の人間の現実を知るまい、と
書いてあったが、私もそうだろうと思う。
このドラマでは、主人公やその家族は真面目な人々だが、中には殺人をしても反省など
全くしない奴もいる。
なるべくなら、そういうクズ野郎の被害に遭いたくないものだ。


ちょっとしたきっかけで、人生を転落してしまった人間は、死ぬまで底を這いずりまわら
なければならないのか。
もはや勝ち組・負け組というレベルの話ではない。
ドラマでは、何らかの希望があればいいのだが‥‥。


ちなみに、私は 真保裕一の作品は「奪取」しか読んでいない。

奪取(上) (講談社文庫)

奪取(上) (講談社文庫)

偽札を、紙の原料であるコウゾ・ミツマタから作る話で、最後まで一気に読めた。
すごく面白かったのだが、話が話だけに、映像化は難しいだろう。